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倉持君が私に向けてくれる笑顔は優しくて、
嬉しい気持ちもあるけど、申し訳ない気持ちにもなる。
A「あ・・・。お弁当家に置いてきちゃった。ちょっと購買行ってくるね」
倉持「俺も行くわ」
A「大丈夫だよ?先に食べてていいよ」
倉持「そう言ってこの前帰ってこなかっただろ。俺も行く」
A「わかった」
正直倉持君が付いてきてくれて嬉しかった。
もしこの前みたいに先輩と会ってしまったら・・・。
購買の前はいつものように混んでいた。
A「うわー。人多いね」
倉持「そうだな。何食べたいんだ?俺が買ってきてやる」
A「え、いいの?」
倉持「松本がこの中入ったらもみくちゃにされるだろ。青道のリードオフマンに任せろ」
倉持君は自信満々に言った。
A「ふふっ、じゃあ、クリームパンで」
倉持「OK!行ってくるわ!」
倉持君はダッシュで人ごみに入っていった。
そして1分ほどで戻ってきた。
倉持「ゲットしたぜ!クリームパン!」
A「ありがとう」
倉持「じゃ、戻るか」
A「うん」
いつものように階段を上っているけど、
A「はぁ・・・」
辛すぎる。2年生の教室は3階にあるからしんどい・・・。
倉持「ほんと体力ねーよな。老後が心配だ。ほら」
A「えっ」
倉持君が私の手を引っ張ってくれた。
A「くっ、倉持君!?」
倉持「早く教室戻ってメシ食わねーと、授業間に合わねーぞ」
倉持君は私の前を歩いていて、登りきるまでこっちを見なかった。
私の真っ赤になった顔、見られなくて良かった・・・。
階段を上りきったところで自然と手が離れた。
A「あ、ありがとう」
倉持「松本、俺たちと一緒にトレーニングするか?」
A「やだよー。ついていけないもん」
倉持君はヒャハハッと笑った。
その笑顔にドキッとしたのは、秘密だ。
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作者名:Sone | 作成日時:2021年3月25日 22時