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倉持「じゃあ、俺を好きになれよ」
A「・・・・え?」
倉持君の突然の言葉に、私は唖然とした。
好きになる・・・?倉持君を?
A「どういう・・こと・・?」
倉持「俺を好きになれば、中原先輩のこと忘れられるだろ」
A「そんな簡単に・・・。ていうか、何で倉持君がそこまでしてくれるの?」
私が聞くと、倉持君はちょっと戸惑って目を泳がせた。
倉持「いや、俺は、なんつーか・・・、松本が傷つくところを見たくねーんだよ」
A「私は、倉持君と一緒にいるのに先輩と重ね合わせてる、最低な人間だよ?それなのに、何で倉持君は・・・」
気付いたら涙があふれてきて、視界が歪んだ。
A「それにさっき倉持君言ってたでしょ?人は簡単には変わらないって。私も一緒だよ。倉持君はそれでもいいの?」
倉持「今はそれでもいい。だから、俺と一緒にいろよ」
倉持君が手を伸ばして、私の涙を拭った。
倉持君の真剣な顔がはっきり見えた。
私は目を逸らせなくて、しばらく見つめ合ったまま無言が続いた。
そんな時、倉持君の携帯が鳴った。
倉持「あ、やべ。練習行かなきゃ。じゃあな。また明日」
A「あ、うん」
倉持君が急いで教室を出て行って、今度こそ教室には私一人となった。
椅子に座ったまま、私は頭を抱えた。
こんなことになるなんて、想像もしてなかった。
「じゃあ、俺を好きになれよ」
あんなこと言われたの初めてだもん。
確かに、倉持君の存在は私の中で大きくなってきている。
でも、倉持君は傷つかないの、かな。
倉持君を利用して・・・私は・・・。
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作者名:Sone | 作成日時:2021年3月25日 22時