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午後の授業は理科と英語。
理科室で実験をしてから、英語の映画を見るという正直楽な授業だけど、
みんなご飯の後だから英語の授業は爆睡している人がほとんどだ。
普段の私だったらみんなと同じようにウトウトしていただろう。
でも、今日は眠たくならなかった。
さっきの出来事のせいだ。
「俺、やっぱりAじゃなきゃダメだ。もう他の女の連絡先も消すし、もうAしか見ない。だから、もう一度・・・」
先輩の言葉が頭から離れなかった。
先生「じゃあ、今日の映画の感想を次回までにまとめてきてね」
先生がそう言いながらカーテンを開けた。
窓の外は土砂降りの雨だった。
お昼休みの時までは晴れてたのに。
みんなそれぞれ教室から出て行って、
ざわついていた視聴覚室も静かになった。
映画を見ている間は聞こえなかった雨の音が教室に響いている。
A「帰るか・・・」
小さくつぶやいて、机の上の教科書とノートをまとめた。
倉持「松本」
A「えっ!?倉持君いたの?」
気付いたら倉持君が机の前に立っていた。
倉持「驚きすぎだろ」
A「ごめん。ぼーっとしてたから」
倉持「そうか。ちょっといいか」
A「うん。でも練習は?」
倉持「雨だから自主練だって」
倉持君は前の席に私の方を向いて座った。
倉持「さっきの人、中原先輩だろ」
A「あ、うん」
倉持「何があったんだ?」
A「何もないよ。ただ購買で会っただけ」
倉持君の目を見れなくて、私は下を向いた。
倉持「でもお前、あの時から変だぞ」
倉持君にはバレてたんだ。
私は言葉を返せなかった。
倉持「どーせ、より戻そうとか言われたんだろ。てゆーか聞こえてたし」
A「聞こえてたの?」
倉持「ああ。で、お前はどうしたいんだ?」
A「どうしたいって、もう中原先輩は好きじゃないよ」
倉持「そんなこと言って、先輩のこと好きなの顔に出まくりだぞ」
A「なっ・・・」
そんなつもりはなかったのに。顔に出てるなんて・・・。
倉持「俺は、やめておいた方がいいと思う。人ってそんな簡単には変わらねーよ。また松本が傷つくことになると思うぜ」
A「そうかもしれないけど・・・」
倉持「なら、より戻すのか?」
A「そんなわけじゃ・・・、私も前に進まなきゃって思ってるけど・・・」
倉持君に問い詰められて、私は言葉に詰まった。
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作者名:Sone | 作成日時:2021年3月25日 22時