Chocolate palette. 【A3！】 (ページ23)

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言い訳なんて甘かった / 伏見臣ページ23

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｢ずりぃだろ贔屓は。みんなのAじゃねぇのかよ｣

｢うわうわ、やる時はやる的な～！？｣

｢だから違うってーー｣

バレンタインを乗り越え一息ついたはずの2月15日。朝っぱらからパリピとヤンキーに責め立てられているのには、とある理由があった。

事の始めは今朝7時。学生組のお弁当を詰めていた私の元に焦った表情で駆け込んできたのは、昨日1番浮かれていたはずのカズくんであった。

｢Aちゃんコレどーゆーこと！？！？｣

｢おはよう、どしたの｣

大事件が如くバッと勢いよくスマホを差し出され、私は手元から目を離す。

カズくんのスマホに映し出されていたのは毎度お馴染みインステ、MANKAI公式アカウント。基本運営しているのは宣伝隊長カズくん、どうにかしてモテたい太一くん、写真の上手い臣くんの3人。そして今画面に映っている監督と私のチョコレートは、臣くんの投稿であった。

きちんと下にお洒落な布を敷いた写真は、まるで高級店の広告の様。監督のも私のも人並みの手作り品だと言うのに、撮り方ひとつでこうも変わる物なのだろうか。

…そして映ってしまった物がもうひとつ。

秘めてきた恋心、気まずくなるくらいなら友達でいたい、なんてポーカーフェイスを決め込んでいた臣くんへの気持ち……の、存続の危機。

｢これ！！何でおみみのだけハート型なの！？｣

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そして冒頭のシーンに至ったという訳である。

まさかインステでバレるなんて、そこまで気が回らなかった。部屋で1人で食べるだろうと甘く考えていたのもある。臣くんだけハート型でも皆気づかないだろうし、もし彼が太一のを見たとしても形はランダムだと思ってくれることだろうと。

｢だからランダムなの！臣くんにたまたまハート当たっただけだから！｣

｢はい嘘。臣以外は丸と四角なの調査済みだかんな｣

得意気に片眉をクイッと上げてドヤ顔の万里。正直めっちゃ腹が立つ。

奥手な私がせめてもと頑張った行動なのだから、万里もカズくんも目を瞑っていてほしい。左京さんの説教を聞いてるフリして耳に入れない万里に、綴くんの小言を全く相手にしないカズくん。君たちせっかく良いスキルを持っているんだから、どうせなら今そのスルースキルを使ってくれ。

｢臣くんだけじゃなくて三角くんだってーー｣

特別に三角形にしたし、と吐き出そうとした苦しい言い訳は、ぽんと肩に添えられた大きな手に遮られた。