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第199話:千載一遇 ページ9

黒子テツヤはずっと待っていた。
起死回生の一手を打つタイミングは、万が一にも外してはならないのだ。

人知れず忍び込んだ用具室で拾った空気の抜けたバスケットボール。普段使う物よりもだいぶ頼りなく歪んでいるそれだったが、不思議と失敗する気はしなかった。

ここぞという時に決める度胸と勝負強さ。
黒子が帝光中バスケ部のレギュラーの座を保ち続けている強みのひとつだった。

弛んだボールを手に、誰にも見つかることなく用具室からステージ上に侵入し、その時を待つ。



(今ーーーー?)


(いや、まだ…………もう少し)



狙うのはスタンガンが確実にAから離れた瞬間。
眞鍋が油断する隙を、絶対に逃さない。


焦るな、落ち着け。見極めるんだ。
必ずその時は来る。


ボールを握る手に力が入る。



「ーーーーやってみな?やれるもんなら」


顎をしゃくり、完全に勝利を確信した眞鍋が赤司を煽る。
Aを捕らえる巨漢がまた一歩後退して、その瞬間。


Aからほんの少し、スタンガンが離れる……!



黒子はその時ーーーー怒りに震える赤司の握りしめた右手、親指だけを立てたそれが僅かに振られたのを見逃さなかった。


「GO」のサイン。

一体彼はいつから黒子がそこに居ることに気付いていたのか、なんて野暮な疑問は後回し。


黒子は短くフッと息を吐くと、全身全霊で、しかし極めて繊細なコントロールで、眞鍋の右手を目掛けてボールを撃ち出した。

イグナイトパスーーーー体育館の淀んだ空気を切り裂き掌から強く放たれたボールは、標的の視界の外から一直線に目標へ向かう。


バチィッッッ



「ーーーーっなッ……!!??」


硬いゴムでできたバスケットボールが眞鍋の右手の甲に直撃する。
空気が抜けているとはいえ十分な重量と弾力を持ったそれは、意表を付いた攻撃として最大の効果を発揮した。


黒子の狙い通りーーーー眞鍋の右手からスタンガンが弾かれて飛び出す。

第200話:狙い→←第198話:火花



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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時

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