第197話:絞める ページ7
私だけは即座に分かってしまう、彼が「兄」と渾名するその大男の正体。
赤司さん達だって一度邂逅しているし、一度見たらこの巨漢のことは忘れられないだろうけれど。
この男と眞鍋くんが繋がっていたとまでは流石に予想はしていないはずだ。
私の頭の位置からは、その男の足の爪先から脛までしか見えない。
けれど、遥か頭上から聞こえる呼吸音と威圧感、纏う空気に、動かない体が竦む。
眞鍋くんの方がよっぽど怖い人間だとさっき理解したばかりなのに、記憶に刻み込まれたトラウマが、恐れろ、震えろ、畏怖しろと囁いてくる。
予定調和のような恐怖に逆らえるはずもなく、奥歯がかちかちと鳴り出した。
「…んだぁ? 暴れろってことか」
体育館内を一望して開口一番、『
どうやら状況を詳しく理解している訳ではないらしい。
私のことも眼中に無いように見える。
「違うよ、バッカだなぁ兄さんは。ここから逃げるから手伝ってって呼んだんだよ」
呆れたように声を掛ける眞鍋くん…確か呉原の方が5つほど上だったはずだが、二人の会話からどちらが上の立場なのかが読み取れる。
あの恐ろしい呉原が一切の反抗無く従っているのはきっと、互いの父親の立場を汲んでというだけではないだろう。
私が眞鍋くんに感じた人間としてのヤバさは、やはり的外れでは無かったのだと思う。
「オレ一人じゃちょっとしんどいからさ。
ちゃんと捕まえといてよ?
よいしょっと。」
「っきゃ、」
突然、宙に浮いていた両足を床に下ろされる。
足首が頑丈に縛られているため上手くバランスが取れずふらついた所を、呉原の方に押し付けられる。
「あ? 何しろって?」
「逃がさないようにだけしといて。Aちゃんは兄さんが怖くって動けないみたいだし。
あ、傷はつけないでね」
「……」
意図せず体重を預けた私の肩を呉原が適当に鷲掴み、無言で首に太い剥き出しの腕を回す。
私とこの男の体格差では、なんとなく腕を回されるだけで首が持ち上げられてしまう。
苦しくてうぐ、と声を漏らすと眞鍋くんと目が合ったけど、彼は咎めることはしなかった。
それを肯定と取ったらしい呉原がじわじわと腕を力を入れ、上へと上げていく。
「っ、くッ……う"……!!」
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時