第196話:ショック ページ6
「赤司さんッ!!あか、」
「煩いな。そんなに騒ぐなよ。」
バチッッ
「い"ぁッ!?」
一瞬目の前が白くなって心臓が止まったような感覚。次いで太腿の裏に火傷したような鋭い痛み。
力は入らないのに勝手に身体がびくびくと痙攣する。
「ぁ………う、あ」
私はこの痛みを知っている。
電撃、スタンガンだ。
その名の通り、押し付けられればして動けなくなる。
瞼ががくんと重くなり意識が飛ばされそうになるのを、すんでの所でなんとか引き戻すだけで精一杯だった。
「Aッ!!」
赤司さんの声が聞こえ、すぐ後に何かがぶつかったような破裂音と打撲音が耳に届く。
確か見ていた限りでは3人程に囲まれていた筈だが、今の一瞬で倒したのだろうか。
「Aを離せ!」
声がさっきよりも近い、同じ高さから聞こえる。
ステージに飛び乗ったであろう赤司さんの方に顔を向けようとするけど、身体に残る痺れのせいで首をほんの少し回すことすらできなかった。
喉からはくぐもった音が漏れるだけ。
「Aッ」
「それ以上近付かないでね。もっかいやるよ」
「……! っ……やめろっ……」
太腿を硬く冷たい何かで撫でられている。
バチバチ、バチバチと断続的に聞こえる電気の走る音。
ぼんやりと意識が遠のきかけている頭でも、恐怖を植え付けられた身体は震えて血の気がひく。
「ほら、Aちゃんが怖がってるよぉ。一日に何回も電気喰らうなんてゼッタイ体に良くないでしょ?」
「……ッ、貴様…!!」
「だから近寄んなっての。下がれよ」
低くなった眞鍋くんの声。
いつの間にかステージ下で行われていた戦闘の音は止んでいて、どちらかが制圧したのか休戦したのかは分からないけど、私達に視線が集まっていることは分かった。
彼の言葉に従い距離を取った赤司さんを見て、眞鍋くんが嬉しそうにくつくつと喉を鳴らす。
見せびらかすように私の腰に頬をぐりぐり擦りつけ、腰からお尻、太腿にかけてをゆっくりなぞる。
悪寒が体を突き抜けて、今すぐめちゃくちゃに暴れてやりたかったけど、見えない位置で鳴らされる電撃の音が私に身動ぎさえも許さなかった。
「あは、今日イチ誘拐犯と人質っぽいね。
…おぉーい、兄さァーーん!」
ゆっくりとステージ奥の扉に向かって後退する彼が軽く振り返って声をあげれば、すぐに扉から最後の登場人物がのっそりと姿を現した。
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時