第235話:激昂 ページ45
「けれど、Aの意思に関係なく、誰かの自分勝手な欲望に無理矢理巻き込まれるのは、黙って見ていられません。
彼女が選んだわけでもない人間に、人としての尊厳を踏みにじられるなんてーーーー絶対に許せない。」
普段は落ち着いた黒子のこと、煮え滾る感情をながく持続するのは珍しいだけに慣れておらず、合宿の疲れも手伝ってか頭がガンガンと痛かった。
目の奥は熱いし、吐気がするし、指先が震えている。
「本当にーーーー本当に、嫌気がさします。
こんなこと、口にするのも嫌ですが。
ボクの推理が、妄想でもなんでもなく、すべて合っていると仮定したら。
眞鍋朝人がAを自分の物にしたいという欲望と、依頼者のAへの攻撃意図は、性的に犯すという方法を取ることで完全に利害が一致するんですよ。
最低だ。最悪です、そんなことは。
絶対にあってはならない。」
黒子は段々と荒くなってきた息を一気に吐ききり、オーバーヒートした頭を冷却するように無理矢理ぶんぶんと振る。
「…テツヤ、」
「赤司君。
Aを標的にした犯人を、捕まえてください。
キミが忙しい人だということは分かっています、けれど、キミにしかできないんです。
ボクも出来ることなら何でもします。
だから、」
「わかった、お前の熱意は分かったよテツヤ。
僕も同じ気持ちだ、だから一度落ち着いてくれ。
興奮した状態では余計な思考を生み出すだけだ。」
電話越しにも聞こえるほど熱く呼吸を荒らげる黒子に、赤司が冷静に窘める。
小さく「すみません」と黒子が答えるのを待って、黒子を刺激しないよう務めながら静かに喋る。
「あちらもAが僕と距離を置いたかどうか測る必要があるから、暫くは大掛かりなことは仕掛けてこないだろう。
だが、眞鍋は使わないまでも、何らかの嫌がらせや警告を匂わせる手はいつ打ってくるとも限らない。
あちらが様子を伺っている間に、お前の推理を元に依頼者の特定を急ごう。
だいぶ絞れたとはいえ正直闇雲ではあるが、出来ることからやっていくしかない。」
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時