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第225話:不意打ち ページ35

「ーーーー……っぁ、」







熱い涙が溢れてぽろぽろと頬を伝っていく。
泣くのは今日で何度目だろう。
でもこれは、今まで流したことのない涙と感情だ。


赤司さんの、強い気持ちと言葉に、心が動かされて。

私は、酷く感動してしまったのだ。



だって、これほど無条件に私を好きと言って。

何度も大切だと伝えてくれることなんてあるんだろうか。

暖かくて幸せな何かで胸が溢れて、あとからあとから出てくる涙が止まらない。




「ーーーーっひ、ぅ……ぅああ、……っ」



「あまりそう泣くな。
それ以上目元が腫れたら皆に気付かれてしまうよ」


雫を拭ってくれる彼の手が、またあたたかくて。
今、体育館に居た時より顔がぐちゃぐちゃになっている気がする。





「あ、赤司さん、わたし。

こわかったです。すっごく、こわかった」



「うん」



「だから、助けに来てくれて本当に嬉しかった。

わたしを、守ってくれて、ありがとう。」



「ふふ。どういたしまして」



微笑む赤司さんに、私は何も、お礼すらこんな簡単な言葉しか返せない。
もっと言うことがあるはずなのに、全然言葉に出来なくて。



だから今、言葉以外で、一番気持ちが伝わるものを。






「征十郎さん」





「うん。









.




ーーーーーーえっ?」




不意打ちの呼び方に面食らった顔にそっと両手を添えて、唇を押し当てる。


涙の味で少しだけしょっぱいそれは、いつも私が彼から受けとるものに比べたら、短くてシンプルで、お子様みたいなものだけど。


それでも、紛うことなく、初めて私から自分の意思でしたキスだ。



眞鍋くんにはできなかった、どうしてもしたくなかったこと。




全部の気持ちを乗せて、貴方だけに。



添えていた手を離し、腰をすとんとベッドの元の位置に降ろす。

赤司さんはやっぱり、瞬く間に私のメッセージを全て理解し、受け止めて。



「………うれしいよ。




ありがとう。」





少しだけはにかんでそう答えるのだった。

第226話:調子→←第224話:大切



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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時

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