第223話：配慮 ページ33
どうしよう。
覚悟してきたとは言え、現実で考えるとここから先に本当に進んでいいのか分からない。
いま思い返せば、赤司さんは付き合う前までもその後も、ハグやキスや軽いボディタッチはあれど、胸とかお尻とか、なんというか際どい所に触れてきたことは一度も無かった。
直接の接触は言わずもがなだ。
そこは彼なりのバランスと配慮で、性的な接触を避けてきたんだろう。
それ故に私は赤司さんに対して強い拒否感を示さなかったように思う。
だからこそ、今日、今この瞬間。
彼が慎重に測ってきたその一線を、容易く越えてよいのか。
私にはその判断が付けられなくて、赤司さんの表情を窺う。
こんな時ばかり頼るずるい私だ。
私の迷いも狡さも全て見透かす赤い瞳は、一瞬だけ躊躇いに揺れ、ひとたび閉じられた後、何かを振り払うように強い意志を持って開かれる。
この聡明な頭脳が導き出す答えは。
黙ってその瞬間を待つ私の頬を撫で、落ち着いた雰囲気で赤司さんが口を開く。
｢……うん。
今日はここまでにしようか｣
彼が下した判断は、｢中止｣だった。
｢ーーーーーーえ｣
｢今あいつを真似る為だけに無理に触ることは、僕達にとって最善ではないと思う。
これ以上進むのはメリットよりもデメリットの方が大きい。｣
そう結論付けた赤司さんの淡々とした言葉に、ひゅっと胸の奥が冷たくなる感覚がした。
今までの、くらくら、ふわふわとしたどこか夢のような酩酊感が一気に消え去って、急に現実に戻される。
あられも無く剥き出しになっていた肌は赤司さんの手によってしっかりシャツの下に仕舞われ、手際良く整えられた。
あまりにも切り替えの早い赤司さんの行動に置いていかれたような気持ちになって、抱え起こされるまでの間、私は何も言えなかった。
赤司さんの下した判断なら、絶対正しくて、間違っているはずはないのに。
どうして今私はこんなに、ショックを受けた気がしてるんだろう。
なんで、どうしてが頭を駆け巡って、呆然とベッドに座る私の正面のソファに赤司さんも座る。
いつもの冷静で落ち着いた表情に戻っている彼を見て、ああ、まだ私は聞くべきことが残っているのだと気付く。
私が佇まいを直したのを見て、赤司さんはこう切り出した。
｢僕はあいつとは違うと、Aが言ってくれたから｣
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー！嬉しいコメントありがとうございます！遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います！^^ (2022年4月19日 19時) (
レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます！！！ (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません！汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです！！(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…！更新ありがとうございます！ (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神！？笑コメントありがとうございます！書き溜めておりますので暫しお待ちを！かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mae | 作成日時：2021年3月17日 2時
