第213話:共通点 ページ23
「Aから眞鍋の話を聞いて腑に落ちた。
奴と言葉を交わした時に感じた吐き気がするほどの嫌悪感ーーーあれはきっと、……。
勿論奴に対して殺したい程憎く忌々しく思っていたけれど……確かに自己嫌悪、同族嫌悪でもあった。
同じ種類の人間、ね。死んでも認めたく無いが理解できるよ。
奴と僕は似ている。」
苦々しくくしゃりと前髪を掴む赤司さん。
赤司さんと眞鍋くんに共通点があるというのは事実だ。
彼等の、カリスマ性と言うべきか、人を統治・支配・操作する能力の高さとか。
中学生とは思えない頭の回転の速さもそうだし、そういった自分の持つ力に対する自信と矜恃とか。
欲しい物は何がなんでも手中に収める、それへの執着とか。
執着の対象が私であることも、或いは共通点と言えるだろうか。
似ているからこそ「私」を好んだとも。
ついでに言えば、二人が私を手に入れようとした時に出てきた台詞は多少の差異はあれど殆ど同じと言っていいものだった。
《今から君は、僕のものだ》
《おれの物になってよ》
《それほど難しいことを言ってる訳ではないよ》
《別に難しいことを言ってる訳じゃないよ》
《ただ、僕の命令には必ず従う。それだけ。》
《ただおれに逆らわずに従ってよ。それだけ。》
そう、そんな風に私の弱みを盾に脅してきたっけ。
結局私は赤司さんには従うことになり、眞鍋くんには拒否を示したのだけど。
その理由には、タイミングとか順序とかではなく、もっと根本的な相違点があると、私は思うのだ。
「あの人は私を誘拐してまで自分の思い通りにしようとしました。
私は、あの人に…お、おか、されそうになった時、壊される、と思って。どうしても受け入れられなくて、拒みました。
では、赤司さんが私を見つけた時は。
私を…大事な物として。側に置きたいと。
貴方はそう言ったと記憶しています。」
そうして告白してくれた時なんかには、いっそ酷いような私の意志の尊重の仕方をしてくれたし、何があっても守るとさえ誓ってくれた。
私を傷付けようとした眞鍋くんと、
私を傷付けまいとした赤司さん。
持っている力が限りなく似ていても、使い方と、考え方が絶対的に違う。
そのことを一番わかっているのは、間違いなく私だ。
「だから私は、赤司さんの隣に居たい。
赤司さんがいい。
赤司さんじゃなきゃ触って欲しくないです」
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時