検索窓
今日:41 hit、昨日:25 hit、合計:26,861 hit

第210話:皮肉 ページ20

「実際そうだろう。

よく彼女の手当てをするだなんて、まったく皮肉だよ。」




最近。以前と比べるまでもなく怪我が絶えない。


公園で呉原に襲われた時、体育祭で転んだ時、そして今回ーーーでもそのどれもが赤司さんのせいなんかじゃない。
むしろ赤司さんが居なければもっと酷い怪我をしていただろうし、手当てだってしてくれてるのに。


赤司さんと出会ってから起こっているというのは事実ではあるけれど、彼には何の責任も無い。
でもきっと、赤司さんにはその事実と後手に回っている自分が許せないのだろう。


重たい雰囲気のまま、次に肌が出ている部分、首から上の手当てに差し掛かる。
下ろしていた髪を避ければ首筋に火傷跡。これは路地裏でスタンガンを当てられた時のもので……、あとは耳と頬にナイフの切り傷が一本ずつと、殴られもしたから少しだけ頬が赤くなっていた。

顔に目立つ絆創膏を貼る訳にはいかないし、極めて小さな傷だから顔には治療はしないけど。
赤司さんはその一つ一つをそっと優しくなぞる。


いけない、端正な顔が近付くからどきどきしてしまう。赤司さんは治療してくれてるだけなのに。


最後に、よく見ればすぐばれるくらい、泣きすぎて赤くなった目元にくすぐったくなるような触れるだけのキスを落として、赤司さんは私の隣に腰掛けた。



「服の下は……やめておこう。今は僕に見られるのも、触られるのも嫌だろう」



今着ているTシャツとゆるいハーフパンツの中には、夥しい痕が残っている。特に、噛み付かれた右太腿と、胸元はその下の腹部までいっぱい。


赤司さんには今まで直接触れられることは殆ど無かった場所。
いや、初めて会った日には少しあったような気もするけど……、私はともかく、今の状態の赤司さんに治療を頼める気はしなかった。

山奥の体育館で少しは状態を知っているにしろ、赤司さんだって見たくはないはずだ。

きっと彼だって、今見たら傷付いてしまう。

第211話:聞きたい→←第209話:洋室



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
91人がお気に入り
設定タグ:黒バス , 黒子のバスケ , 赤司
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。