第208話:偶然 ページ18
「「あ」」
赤い暖簾を潜ってハモる第一声。
「……あかしさん」
そう、昨日もこの時間彼とばったり出会したのだから、今日もそういう可能性があると考えても良かったものだった。
探そうと意気込んでいたのも束の間、赤司さんもちょうど今お風呂から上がり、誰かを待っているようだった。
目が合わない、とさっきまでは思ったけど、今は普通に見える。
いや、さすがにここで目を逸らす様なあからさまなことはしないか。
がらり
「あ、ミドリン」
「む?桃井と水織か」
そしてここで緑間さんが登場。赤司さんが待っていたのは緑間さんだったのだろう。
「僕達はこれから明日のミーティングだから、それじゃあ」
「あっ、ま、待って、赤司さん!」
くるりと背を向け立ち去ろうとする赤司さんを、思わず勢いで呼び止めてしまった。
少し驚いて振り返る赤司さんと緑間さん、けどどうしよう、これからミーティングがあるのか。待ってと言ったものの何と伝えるべきか何も考えてなかった。
「え、えっと、あの……ミーティングって長く掛かりそうですか?できたらその、赤司さんに話したいことがあって…、
ミーティングのあと、お、お時間取っていただくことは可能でしょうか?」
焦りすぎてなんか変に畏まった口調になってしまった……!!なんでこんなビジネス文書みたいな。
後ろでさつきちゃんが吹き出してるのが見えてるし緑間さんは完全に困惑している。ああもう恥ずかしい……!
当人の赤司さんはというと、ふっ、とほんの少しだけ笑って緑間さんの方を見上げる。その仕草で察したらしい緑間さんが、
「ミーティングといってもスタメンだけのものだからそう掛からない。20分あれば十分なのだよ」
と教えてくれた。
「では20分後に406号室においで。
髪はしっかり乾かしてから来るんだよ。」
「…は、はい、ありがとうございます、」
そう言って去って行く赤司さんを今度こそ見送る。ふう、良かった、なんだってあんなに緊張したけど、なんとか約束は取り付けられた。
406号室……ってたしか急な体調不良の人の為にある予備の個室だったはず。男子は皆大部屋だったから、2人きりで話せるように、ってことだろう。
「20分後かぁ、意外とすぐだから早く髪乾かさないとだね。急いで戻ろ!」
「うん!」
さつきちゃんに急かされ廊下をぱたぱたと駆けていく。
今度はちゃんと話せるように頭を整理しておかないと。
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時