第207話:故意 ページ17
視線には敏感にもなるし、逸らされたらそれが故意なのかそうでないのかくらいはわかる。
ましてやそれが赤司さんのものならば。
山奥の体育館の時に視線を外されて一瞬胸が騒いだけれど、その後すぐに抱き締められたから一時的なものだと思っていた。
けれど考えてみれば彼がステージから私を見下ろしたあの瞬間以降、一度も目が合っていないのだ。
「…そっか。赤司君が何の考えもなくそんなことするとは思えないし……。」
「そう、ですよね……」
「うん……、でもこういう時は変に勘繰るより直接聞いた方が早いと思う。
赤司君が怒ってるにしろ何にしろ、Aちゃんはちゃんと赤司君と話したいよね?」
「……! うん!」
「じゃあ善は急げ、だね!上がったらすぐ探しに行こう!
…きっと、今傷付いてるAちゃんを助けられるのは私じゃなくて赤司君だし、Aちゃんが感じてるもやもやを解決できるのは赤司君だけだから。」
そう言って少し困ったように微笑んでみせる彼女。
…私は今、こんなにも貴方に助けられているというのに。
「何言ってるの。さつきちゃんが私を助けるためにたくさん動いてくれたの、知ってるんですよ。
それに、いつもこうやって背中を押してくれるさつきちゃんに、どれだけ支えられてるか。
…困ってる時に貴方がそばに居てくれるだけで、たくさん力を貰ってるんです。
ありがとう。」
口からすらすら出た本心に、当の彼女は目を丸くしている。
そろそろ上がりましょう、と立ち上がれば、ようやくいつもの笑顔に戻ったのを見て私もほっとする。
彼女のためにも、私は早く自分のことを解決しなといと。
ああ、早く赤司さんに会いたい。
会って話をしよう。
私の考えを、思いを、伝えなくては。
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時