第205話:滲みる ページ15
時刻は午後9時、お風呂の時間。
ちゃぷん。
と、爪先から乳白色のお湯に入れる。
ぬるめのお湯だけど、今日できた傷口に塗るにはそれでも刺激が強かった。
「っ、……! し、しみる……っ」
思わず零せば今日は先に入っていた桃色の瞳がなんとも言えない感情の顔でこっちを見てい……えっ???うそ、さつきちゃん泣いてる??
「さつきちゃん…?ど、どうして」
雫を限界まで溜めて、彼女はゔっ、と一瞬咽ぶと、両手で思いっきり水面を叩きつけた。
「どうしてもこうしてもないわよっ!!!」
ワヨッ、ヨッ、ヨッ……とお風呂の中に何重にも反響する彼女の大声。
泣きながら怒っているらしいさつきちゃんと上がった水柱に目を丸くして固まる私である。
「へ、」
「わたしっ、全然許してないんだからねっ!
Aちゃんがわたし達に助けを求めなかったこと!
一人で解決しようとしたこと!
自分だけ傷付けば済むと思ってたこと!あと、あと…!!」
ばしゃばしゃと波を立てる彼女に、おろおろ手を差し出す。
「ご、ごめんなさい…」
「帰ってきたら!いっぱい、怒ってやろうって、思ってたのに……。
そんな傷だらけになってるなんて、そんなの、………。
何も言えなくなっちゃうよ……」
桃色の瞳が滲んで揺れる。
彼女が手を伸ばした先には夥しい数の傷痕。
逃げる途中で出来た細かい切り傷擦り傷、真鍋くんに付けられた噛み跡、吸い跡、火傷、その他縄跡の痣やナイフの擦傷諸々。
どれも大怪我という程ではないけど、確かに人に見せられたものではなかった。
さつきちゃんには体育館に戻った後すぐに簡単に事の次第を説明した。
人目もあったしぎりぎりの時間だったから本当に大まかにだったけど、彼女はその時出せなかった怒りや泣きたい気持ちをここまで溜め込んでいたらしい。そして爆発したと。
「……痛い?」
私の手首を優しく持ち上げたさつきちゃんが聞いてくる。
「…いえ、痛み自体は見た目ほどでは。
……でも」
まだ腰までしか浸かっていなかった私は、徐に後ろの洗い場の鏡を振り返る。
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時