第203話：視線 ページ13
彼等が扉の向こうに消えてからたっぷり10秒、私達は誰も口を開かなかった。
いま、なにを言えばいいか…なにを言っていいのか分からなかったというのもあるけれど、一番は皆「彼」が喋るのを待っていたのだろう。
前回、公園での時は黄瀬さんが口火を切ってくれたけれど、なんだか今回はそうもいかなくて。
「彼」以外に喋ることが許されていないかのようなーーーーとにかく、そんな空気だった。
そんな訳で私達の視線はステージ上にひとり残された赤司さんの元へと集まっている。
彼の指示を、彼が口を開くのを黙して待つのみである。
「………」
不意に、ずっと扉を睨みつけていた赤司さんが振り返った。
ばちり、と目が合う。
(………あ、)
すぐに視線は途切れてーーーーそれはソファの周辺に放置されていた私の携帯と靴を彼が拾いあげようと下を向いたからなのだけど、何故だか一瞬ざくりと刺されたように胸が痛んだ。
意図的に目を逸らされた、からか。
声を掛けようにも何も言葉は出てこない。
礼か、謝罪か、弁明か……どれに決められるでもなく、でもとにかく近寄りたくて、立ち上がろうと足に力を入れる。
グラッ
「あ！……きゃっ……！！」
まだ手首足首に絡みついたままのロープを忘れており、バランスを崩す。
「っと…ワリ、今解いてやっから」
「ボクも手伝います」
再び受け止めてくれた青峰さん、テツくんがそれぞれの結び目に手を掛ける。
私がステージから飛び降りた後、いち早く駆け寄ってきたテツくんがさりげなく私のブラウスの襟を合わせてくれたけど、なにせボタンが取れて無くなっている。
私の肌蹴たままの格好に配慮して皆視線を外してくれていたけど、恥ずかしさと申し訳なさで熱くなった顔を隠すことは出来なかった。
縄は呆気ないほど簡単に解けた。
じんわりとした痺れと擦れた痛みの感覚があり、少しだけ赤くなっている。
自由になった手でボタンの少なくなったシャツの襟を寄せて握っていると、すぐ正面に私の靴を綺麗に揃えて持った赤司さんが歩いて来ていた。
「あ、の…赤司さ……、！？」
床に座り込んでいた私の足に、持ってきた靴を履かせてくれる。
「い、いいです！自分で履けますから！」
赤司さんが私に傅いているのがおかしくて慌てて止めようとするも、彼は全く手を止める気はなく、あっという間に両足揃えられてしまった。
「ありがとうございます…」
「立てるか？」
「はい、」
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Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー！嬉しいコメントありがとうございます！遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います！^^ (2022年4月19日 19時) (
レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます！！！ (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません！汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです！！(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…！更新ありがとうございます！ (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神！？笑コメントありがとうございます！書き溜めておりますので暫しお待ちを！かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mae | 作成日時：2021年3月17日 2時
