第201話:勝敗 ページ11
ギュッと目を瞑っていた彼女にはまだ何が起こったのか把握できていなかったが、頭上から慌てて掛けられる青峰の声に薄らと目を開けた。
「おい! 大丈夫か!?」
問いかけに辛うじて頷き、口を開く。
「ッげほ、あ、おみねさ、すみま、…ッ」
ぼろぼろの状態で謝ろうとするAを「いいって、」と制し、青峰はステージに視線を戻す。
Aを失ったその場所では、10秒にも満たない逆転劇に硬直する眞鍋と、その彼に恐ろしい剣幕で脚を振り上げる赤司の姿があった。
「! ッくっ…!!」
赤司の攻撃態勢に気付いた眞鍋が 首を刈り落とす勢いで飛んでくる上段蹴りを腕で紙一重に防ぐ。
十分には吸収し切れなかった衝撃が腕から体全体に流れ込み、眞鍋はよろりと後退する。
彼のすぐ後ろでは呉原が赤くなった顔を押さえて蹲り、腕からはぼたぼたと血を流していた。
「チッ、」
目の前には溢れ出る殺気を隠そうとせずもう一撃を狙い距離をはかる赤司。
ステージのすぐ下には救出されたAをキセキが囲み、こちらを睨んでいる。
体育館は既に彼等によって制圧されており、武器を持っていた青年達の中に立ち上がれる者は一人として居なかった。
「Aは返してもらった。
投降しろ、眞鍋朝人ーーーーお前の負けだ」
険しい表情、厳しい口調で吐き捨てるように告げる赤司。
形勢逆転。
人質さえ奪還されてしまえば、眞鍋に成す術は無くなる。
赤司とAにゆっくりと一度ずつ目を向け、
目で、耳で、頭で敗北を理解した眞鍋は、痛みと痺れを押して両腕を顔の横まで上げる。
「確かにーーーーそうみたいだね。
やるねぇ、やってくれたねぇアカシくん。
驚いたよ。オレの負けだ。
キレてるように見えて随分冷静じゃん。
キミにはこの展開まで見えてたって訳?
特にクロコくんとアオミネくんへの指示は妙に早かったけど…打ち合わせでもしてたのかな。」
「…………」
軽口を並べひらひらと手を振る眞鍋に対し、赤司は微塵も警戒を解かなかった。
いつでも動き出せるよう、意識は両手両足に集中させたまま次の行動に目を光らせる。
「そんな警戒しなくていいよぉ。人質取り返されちゃった以上もうこっちにできることは無いんだからさ。
せいぜい尻尾撒いて逃げるだけ。」
「…逃がすと思っているのか」
「いやいや、キミ達今合宿中でしょ?
そっちのタイムリミットだよ、オレを追い掛けるだけの時間は無いんじゃない」
「…………」
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mae(プロフ) - ?? ??さん» わー!嬉しいコメントありがとうございます!遅くなりましたが続編もぜひお楽しみ頂けたらと思います!^^ (2022年4月19日 19時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
?? ??(プロフ) - つい一気読みしてしまいました、、くっそ面白かったです続き待ってます!!! (2022年4月9日 21時) (レス) @page47 id: faab22f8d0 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» お待たせしてすみません!汗楽しみに待っていて頂けて本当に嬉しいです!!(*ˊ˘ˋ*) (2022年1月20日 3時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - やはりMaeさんは神だ…!更新ありがとうございます! (2022年1月16日 21時) (レス) @page46 id: e645865379 (このIDを非表示/違反報告)
Mae(プロフ) - ルカさん» 神!?笑コメントありがとうございます!書き溜めておりますので暫しお待ちを!かっこいい赤司くん書けるよう頑張ります(^^) (2022年1月8日 16時) (レス) id: d276010101 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Mae | 作成日時:2021年3月17日 2時