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第261話:牽制 ページ25

駆けつけた教室を見渡すと、Aは見えなかった。正確に言えば、椅子に掛けた彼女の姿は男子生徒3人に囲まれ、誰の視界からも隔絶されていたのだ。

誰かに絡まれ動けないでいる、というのは先程立てた予想の内の一つにあったもの。

今はどういう状況だ?……落ち着け。まずは彼等とAを離す。彼等は誰だ?Aの仲の良い知り合いではないだろう。まさかAの相談事に関わる人物?僕に相談される前に行動を起こした?


脳が高速で動いている。今何も確証を持てる答えは出ていないが、あくまでこちらに優位があるように牽制する。


「寄って集って彼女に何の用だ」


少しだけ上がっていた息を殺して問う。バッと振り向いた3人の顔に見覚えはーーーー1人、友人ではないが知っている。1年の時に同じクラスで、確かテニス部だったはずだ。
彼等の隙間から見えたAの顔には緊張、強ばり、からの驚き、弛緩と安堵の表情。良かった、ひとまず安心できる。


「雑談にしては品がない絡み方をしているようだが。

茉緒を困らせて随分楽しそうじゃないか。僕にも関係のある話なら混ぜてくれないか?」


思った以上に低く冷たい言葉と声がすらすらと出てくる。少しの早口はバレてはいないはずだ。

これも鎌掛けだったが本当に僕が関係する話だったようで、焦った彼等が慌ててAの手を離し、椅子を押さえていたであろう足を退かした。

一体何だ?僕に関係する話で、僕には聞かれたくないこと。都合の悪いこと。面識の無い彼等がAを無理やり引き留めて聞きたいこと?
……まだピースが足りない。


(何か隠しているものがあるだろう。出せ。)


視線と声で動かし誘導してやれば、ボロを出した1人から何かメモのような紙切れを奪い取ることに成功する。

広げてみれば全てのことが一瞬で分かった。
大体予想内のことで驚きも無いが、ただくだらなすぎてこんなことにAを巻き込んだことには許し難いというだけ。

僕の物に手を出しておいて、覚悟はできているんだろうなと。


怒りを込めて連中を教室から追い出した。
手短に終わらせたかったが昼休みも半ば、人だかりができ始めている。
Aには説明が必要だし、説明してもらわないといけないこともある。手っ取り早く2人で話せる場所……そうだ、あの資料室がいい。滅多に昼休みには人が来ないし、机と椅子があって何より内側から鍵が掛かる。


…悪いな真太郎ーーーーーやはりAは昼休み中には帰せないかもしれない。

第262話:自尊心→←第260話:予言



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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

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