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御幸は私の名前の下に「絵を描くのが上手い」と書いた。
A「あ、いや、私はそんなに上手い方じゃないよ。呉竹とか超上手いから、あまりそこを全面には打ち出したくない」
御幸「じゃ、何を打ち出したいわけ?」
A「うーん。ないなぁ」
見る専なんだよねぇ。頭に妄想はあっても、表現力に自信もないし、好きな作家さんとかの作品を見ると、自分が書く側になろうだなんて思えなくなった。
A「呉竹のマンガ見てみる?漫研の部員なんだ〜」
御幸「ん?」
A「超神!画力が!確か、去年の学祭の時のが……」
私はくれのロッカーを開けた。綺麗に整頓されていて、くれを象徴してる。
あった。
御幸に手渡すと、すぐに開いて見始めた。
あれ?
あれ?
時計の秒針の音が響いてる。
もう教室には私たちしかいない。
チラリと開いて、なんか言ってくれると思ったのに、ガッツリ読んでんじゃん!!
私は薦めてしまった張本人なだけに、途中でやめろとは言えなくなった。
沈黙で20分……。
どんな作品だったっけ。
去年の学祭は確か……。御倉本……。
ガーーーーーーン!!
A「うわああああああ!!やっぱダメ!見ちゃダメ!」
御幸は本をパタンと閉じた。
御幸「……読了」
A「あの……そんなガッツリ見る?普通」
御幸「呉竹が頑張って描いたのに、ちょっと見ただけで、ああだこうだ言うのは失礼だろ?」
A「…………ああ、ありがとう」
いいヤツだな……。御幸。
御幸「全部ペンネームでどれが呉竹が描いたヤツか分かんなかったけど、ん〜多分、コレ?」
A「そう!それ!!綺麗でしょ?!」
御幸はすごく優しい顔になった。
御幸「ん。綺麗だな」
A「!!それでね?ここのシーンがすごくいいんだよ!倉持が御幸に……(ハッ!!!)」
御幸「ん。倉持が?」
A「…………」
ガーーーーーーン!!
何を言っとるんじゃ!私はーーーー!!
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2020年9月4日 16時