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御幸「今日さ……2年も目で追ってきて、1度も目が合ったことがないお前と、初めて目が合った」
A「ぁ……」
御幸「分かんねぇだろうな。この気持ちは」
A「あ、ありがと。でも」
御幸「全然いいぜ？どんくらいの期間触らなければ、信用してくれる？」
A「………4ヶ月」
御幸「………あ〜、なるほど。根っこはそっちね？今頃キたんだ。そこ」
A「…………」
御幸「オレのこと好き？」
私は頷く。
御幸「違う。ちゃんと言葉で言え」
A「好きで……す」
御幸は両手を上げて、触りませんのポーズをした。
御幸「オレも好き。すげぇ好き」
御幸は口角を片方だけ上げて笑った。
御幸「お前に遠慮してただけ。遠慮しないでいいなら、死ぬまで一緒にいてぇよ」
A「そうなの？」
御幸「当たり前だろ。1年の頃から片思いしてるんだぜ？」
御幸は両手を上げたまま、靴のつま先を私のつま先に右、左、と、コツコツ当てる。
御幸「でも……。オレ、多分、1月から福岡なんだよ」
A「は？福岡って九州の？どうして？」
御幸「プロ注目選手って言っても、夏の甲子園逃してるからタイトル弱いんだよ。ドラフトも中盤あたりにならないと指名されないと思う。4位かな？5位かな？上位じゃなければクジでもねぇから、今年のペナントレースの結果から考えれば、ソフトバンクに呼ばれる」
A「プロ野球選手になるの？」
御幸「へ？そうだけど？」
A「ふーん」
御幸「遠距離。耐えられそ？」
A「なるほど〜。人って、こういう風にすれ違うのか……」
御幸「触んないまま、福岡行ったっていいぜ？頑張れば我慢できる。そりゃ、チャンスがあればって思ってたのは、素直に認めるけど……？」
A「ううむ」
御幸「それでお前が別れたいなら、もう仕方ねぇよ。今日、家帰って、部屋で1人で号泣するだけ」
A「は？号泣すんの？」
御幸「当たり前だろ」
A「御幸が号泣……」
御幸「……OK。分かった。一旦別れる。はい。合意」
A「え？」
御幸「あ〜。ちょい待って、手、痺れてきた。下ろしていい？血が足りない」
御幸は両手を下ろして何度も振った。
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作者名：ほさつ1秒83 | 作者ホームページ：https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時：2020年9月4日 16時
