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底辺には底辺のプライドってものがあった。
勘違い野郎だと思われないように、どんな時も、身の程をわきまえてきたから、今さらどうすればいいか分からない。
傷つかないように生きてきただけで、ホントは結構面食いだし、素の私だったら、今の状況は24時間営業で、「キャー!キャー!」って叫んでるのに。
でもOK。初めてここから御幸を見たけど、この角度は絶対に気付かれない。
身体を横に向けない限り、私の席は死角だ。
授業中はセーフ!いいこと知った。
次は……、ちょっとだけ……、しっかり見よう。
私にとって、今までみることのなかった、教室という夢のシチュエーションでイケメンを……。
ほんのチラ〜見でいいから……。
ドッドッドッドッドッドッドッドッ
あ。そうだ!
片思い設定で見るとかどう?
学校で1番のモテ男に恋する、可愛らしい主人公が私!
ずっと片思いしてた彼とやっと同じクラスになれた。
彼は私の事なんてきっと知らない。
毎日こっそり、彼のことを見てる。
見てるだけでホントに幸せ。
ドキドキドキドキ
なーんちゃって。
そっと……。御幸を見る。
ドッキーン!!!!!!
ドドドドドドドド
びびびびびっくりした!!
御幸とバッチリ目が合った。
なんでコッチ見てんの!?
バカじゃないの?授業中!!
ドッドッドッドッドッドッドッドッ
御幸は1度、驚いたように目を見開いて、それから泣きそうに目を細めて、右腕で顔を隠した。
何?
ああ、でも、やっぱりカッコいい。
カッコよくて、目が合った瞬間、心臓がドキンと跳ねて、それで今、ドキドキドキドキしてる。
主人公は
「どうしよう〜〜!目が合っちゃった〜〜!」
とか思うわけだよ。多分。少女マンガなら。
で、私はと言うと、盗み見失敗のための後悔と、
御幸が私のことを好きって言ってくれた時のことも思い出して、完全に顔面融解状態。
教科書をパーテーションにして、その授業の間はもう、二度と御幸を見ないと決めた。
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2020年9月4日 16時