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みんなが見守る中、このクラスになって、口も聞いたことがない、目もあったことがない。なんならマジで接点1個もなかった御幸の席に行く。
そう、もうこの方角には歩くことはない。
多分、鬼門。なんなら鬼門。
私は死出の旅へ向かった。
アディオス……。
みんな、先立つ不幸をお許しください。
A「あのぅ、御幸……」
私が御幸に話しかけた瞬間、クラス中が注目した。え?!なんで!?
振り返るとあっかーたちみんながガッツポーズで見守っていて、麻耶は腕を組んでニコニコしていた。
男子にも、女子にも、多分、人生で1度も注目された事などない私が、もっとも注目されている状態になっていると思われ……。
御幸「なに?」
(シーーーーン)
教室が静まり返っとるやないかい!!
1、早く言い終わって、
2、早く息の根を止めてもらって、
3、そして私は何事もなかったかのように
「だよね!」
とか言って、席に戻ればいい。
たった3つの動作で終わる。
心の中で唱える
「(全“不“集中の呼吸)」
まずは自分の感覚を100%麻痺させる。
何か一つでも神経を研ぎ澄ましてはならぬ!
くらうぞ!
できる限りダメージを食らわない方法は、集中力を散漫とさせること。
よし。OK。
行け!私!!
A「好きです。付き合ってください」
御幸「……え」
え。じゃないよ!御幸!早く!
御幸は手のひらを耳に当てた。
御幸「え?なんて言った?聞こえなかったんだけどぉ」
はあああああああ!?
ふざけんな!お前!バカか!!
状況を見てからものを言え!
我慢だ!A!
我慢せよ!!
奥歯を噛みしめながら、2度目を言う。
A「ぃぃぃ……付き合ってぐだざいぃぃぃ」
御幸「ああ……いいよ?」
A「だよね!じゃあね!!」
あ〜終わったー!家帰って風呂入って寝るべ!
私が踵を返して、みんなの方に向かって歩き出そうとすると、真っ赤になってるみんなの顔が見えた。
ん?
今、何つった?
そおっと御幸を振り返ると、首を傾げている。
A「は?」
御幸「は?」
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2020年9月4日 16時