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3年の校舎に戻って教室の前まで着くと、他のクラスから裸眼御幸のギャラリーが集まってきて、人だかりになっていた。
いや、厳密に言えば、コンタクトしてんだから、裸眼じゃないんだけどっ。
教室が落ち着かない空間に変わっていて、私は廊下で、
「(眼鏡割るとかホント、最悪。なにしてくれてんの!)」とか、ぶつぶつと独り言を言っていた。
そんな教室から、麻耶と麻耶のサイドキックたちがウンザリした表情を浮かべて出てきた。
麻耶「何なの梨絵とかっ!わざわざE組なんかから来ないでほしいっ!」
梨絵というのは、学年でも麻耶と勢力を2分するような女子生徒リレーションシップの最高峰の1人だ。
私はいつものごとく麻耶から目線を外して足早にどこか別のところに移動しようとした。
麻耶「あー!A!!ちょっとどこ行ってたの?!そんな所にいたらB組の平和が奪われる!本当、お願いだから、教室にいてよねっ!!」
失敗。
麻耶はまるで私が教室にいること自体に大きな力があるかのように文句を言ってきた。
何言ってんの。
私なんかいてもいなくても、B組は何も変わらないでしょ?!
っつーか、それはそれは本当に悲しいほどに何も変わらない。私はそういう存在だ。
今までずっと!それは身に染みてわかってる。
それを麻耶は、いとも簡単に否定してきたのだ。
麻耶「A〜!早く追っ払ってよぉ!」
えええええええ〜?!
イヤ、だから、どうしたらこうなるの?!
私にはそんな力ないの、麻耶こそ1番分かってるでしょ?
底辺中の底辺で、麻耶だって今まで私の存在すら知らなかったんじゃない?
麻耶は私の背中を押して教室に押し込めた。
御幸「おかえり」
頬杖をついた御幸がニッコリ微笑んで、一言そういうと、教室に押し寄せた人たちがみんな一斉に私を見る。
A「た……ただいま」
(シーーーーーーーン)
梨絵は私のところにツカツカと近づいてきた。
怖すぎるっ!
梨絵は私の顔と、足元から頭のてっぺんまで、舐めるように物色して、肩で大きく息を吸い、「(ハーッ!)」と吐き出して教室を出て行った。
麻耶「A〜〜〜〜!ありがとう♪」
麻耶が私に抱きついてきて、頬ずりしてくる。
お化粧の香りがした。
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2020年9月4日 16時