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御幸「A」
もういいから早く帰れ!!
御幸「ずっと好きだったんだよ。オレ……」
早く帰れ……。
御幸「都大会終わって、夏の甲子園だめで、8月はわりとボケっとして、もんもんとして」
ん?
御幸「やっぱ、ちゃんと告ろうって思って、でも、絶対ぇ振られるって分かってたからさ」
はい?
御幸「倉持に繋げてもらって、あっかーに相談して、あっかーにも“多分いきなり言っても無理だ“って言われて」
ちょ、ちょっと……待って。
御幸「んで、麻耶にも協力してもらって」
頭が回らない。
御幸「クラスみんな、オレがお前のこと好きなの知ってんだよ。つーか、野球部もみんな知ってるけど」
私はゆっくり顔を上げた。
御幸は悲しそうに笑った。
御幸「汚いことして、ゴメン。なんとかして、ちゃんとこっち向いてほしくて」
A「そういうこと……」
御幸「嫌がらせとかの類じゃない」
御幸はいつの間にか正座してた。
御幸「今、振られる覚悟はできてる。あっかーにも“やるなら墓まで持って行け“って言われてたし。でも、マジだから、一応ちゃんと考えてもらえたら助かる」
A「好きになられる要素があまりにもなくて、想像が追いつかない」
御幸「ん」
A「けど……。怖かった。今の話……。怖かったっ!!」
私は御幸に抱きついて、御幸は両手を少し上げて固まってたけど、
ゆっくり背中を包んでくれた。
御幸「情けないけど、こんな男なんだよ。固めて固めて、成功させようっつー。性格悪ぃだろ?」
A「でも、あっかーの言う通りだったと思う。いきなり言われても、全然無理だったと思う」
御幸「好きになってくれそ?」
A「多分……」
御幸「ん。今はそれで十分だよ」
御幸は少しホッとしたように、静かに笑って帰って行った。
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作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2020年9月4日 16時