→ ページ17
私はトイレの個室で、そおっと包みを開けた。
A「額縁?」
ポストカードサイズの額。
ブラックバックにカラフルな曼荼羅が描かれていた。
A「わぁ…綺麗……。宇宙みたい」
どうやって描いてあるんだろう?
額とは別の包みに、色とりどりのペンと、小さめのスケッチブック。
スケッチブックをめくると、全部の画用紙が黒だった。
A「黒のスケッチブックなんてあるんだ……」
もしかしてコレ……
合わせてみると、額に入った曼荼羅とスケッチブックが同じサイズだった。
もう一度、額の中を見る。
キラキラの無数の粒が、交差して、列をなし、集まって……。
ウソ!!!
コレ、
A「御幸……。センスどうなの……?」
普通はアウト。
私には……。
どストライクだった。
それは紛れもなく私だけに向けたプレゼントで、
きっと奮発もしてくれた。画材は高い。
ポロポロと私の目からも、粒が列をなして落ちた。
うっうっう……。
なんじゃこりゃ、私、なんで泣いてんの。
劣等感とか、人を羨む気持ちとか、そういうものが溢れて止まらなくなった。
初めて人に「お前、すげぇな!」と言われた。
怖くて、自己承認欲求を隠して来てたのかもしれない。
A「余計なことして!ワーーーッ!!」
私は昇降口の一番近くの、いつもあまり使われていないトイレで大声で泣いた。
予鈴が鳴って、教室に着くと、御幸が私の顔を見てギョッとした。
あっかー「どうしたの?!A!?目、真っ赤!!」
いつメンが私を囲んでよしよししてくれた。
私はこの子たちが大好きだ。
あっかーは小説が書けるし、SNS上でファンも多い。
くれは絵が上手くて、コミケでもすぐ売り切れる。
はまちは男っぽいとこもあるけど、ゲームがすごく得意。
たまは声優ヲタだけど、実は自分もボイトレに通って声優を目指してたりする。
カースト底辺って言ったって、私からしたらみんなカッコよくて、私だけが何もなかった。
コレ、私もやってみたい。点描アート。
別に点描をやれたからって何にもならないけど、大好きな人たちを羨ましがるんじゃなくて、もっともっと純粋に大好きでいられたら嬉しい。
御幸が書こうとしてた、私のメモノートは、スカスカだったけど、あともう少し書けること増やしてあげられたらいいなと思った。
53人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほさつ1秒83 | 作者ホームページ:https://twitter.com/hosatsu1_83
作成日時:2020年9月4日 16時