ル ー レ ッ ト ガ ー ル 【浦島坂田船】

優しいんですね ページ21

彼に連れてこられた部屋は質素で10畳ほどのあまり広いとは言えない部屋だったが

生活感があったので、恐らくうらたの自室だろう。


「…A、お前ギャンブル好きなんだろ。」

急に止まったかと思えばいきなり投げかけられた言葉。

別に好きじゃないし…

元々ギャンブルなんて先生とやれるから好きだっただけで


先生に出会ってなかったら興味もなかった

納得させる嘘でマスターが言ったからそう思ったのか。



「好きだったらなんですか、」

少し強い言い方になっただろうか。



「…俺はギャンブルが大嫌いなんだよ。
いや、言い方変えるとなるべくしたくねぇ。」

乱暴に椅子に座る彼は吐き捨てるように言った。



「派閥に所属しなきゃ生きていけねぇし、
所属したら才能かなんか知らんがリーダーなんて願ってもない職業までついてきやがった。


…ギャンブルをやめたい。誰かが身を滅ぼすようなものを進んでやりたいようには思わない

俺はお前に勝ってもらわないと困るんだよ」


そうすると彼のグリーンの瞳は私を真っ直ぐに貫いた。


ギャンブルがきらい、と言った彼の

その理由は傷つく人がいるからとか
ちょっと思うのは、


「…人のこと考えすぎじゃないんですか。

ギャンブルで相手が傷つくなんて考えたらおしまいですよ。」




優しすぎだ。この人は


「なっ…？！
そんなこと言ったって事実だろ？！

誰かが身を滅ぼすことが見たい奴なんているわけねぇだろ！」


「余程のクズだったらいますよ〜
私のいた世界でも人の不幸は自分の幸せなんていう人ごまんといました。」


反論されるが今回ばかりは私の勝ち。

だって、

「うらたさんは優しいんですよ…

今日のギャンブルも他の人が勝たないように決めてくれたんですよね。」



少しいじるように揶揄うが

顔を赤くする彼に、すこし可愛いなんて思ったのは


私だけの秘密だ。

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