検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:13,383 hit

君のものさしで測った全て 〜息吹〜 ページ17

.




 どうやらこの女の子は、ホタルを見たいらしい。

 幻想的できれいだとは思うけれど、私は虫とお近づきにはなりたくない。彼女のお願いともとれる言葉を聞いたリンクは彼女に「ちょっと待っててね」と、そして振り向いて私には「name、手伝って!」ですと。

 …まあね、そういうお人好しなところはいいんだよ。リンクらしくていいと思うんだ、けれども。

 いや私虫とか無理、嫌よ待ってるときゃんきゃん喚いたにも関わらず、強引にもリンクは私の腕を引っ張って外へとずんずん歩いて行く。
ひどい、待ってるって言ったのに!


 むすっと思いっきり不機嫌な顔で仁王立ち。なんで他の子の言うことは聞いて私の意見は聞かないの。ホタル捕まえるためだけに着替えて馬鹿みたい。

 私の言葉を聞いてほしい。他の人ばっかりずるいよ。たまには私だって…


 あれ。


 ここまできてやっと自覚。
…私、リンクのこと好きなのか。
びっくり。鈍い私にも、私が人を好きになることにも。何より私はこんなにやきもち妬きだったのか。


 name、と呼ばれてはっと彼を見る。

「結構たくさん獲れたよ」
「…ほんとだ」

 その証拠に、リンクの手の中からはうっすらと淡い光がもれている。

…それ、私の近くで開いたら怒るからね。興味半分、怖さ半分でそっと覗き込む。くすぐったいと笑う彼に、段々とわだかまりが解けていくような気がした。


 ラズリちゃんの家へと戻って、リンクは手を開いた。私はドアの隙間から顔だけ覗かせて、その様子を見ていた。

 きれい、と喜んでお礼を言う彼女に、さてリンクはどう答えるのかとおとなしくしていた。

 けれど、彼の口から「寿命」という単語が聞こえたような気がする。きっと彼女の機嫌を損ねるので、すぐ駆け寄って馬鹿、と毒づきながらリンクのお腹の横辺りに肘を突き立てた。



「負けてないよ」
「ふふっ…ありがと」

 でもその後はいつもどおり、にこっ、と人懐っこい笑顔でそんな台詞。それはそれで少し複雑だったけれども。ああ、私も言われてみたいなー、なんて思ってしまった。


 彼女の家をあとにして、宿に向かう途中、私の小さな願いは叶ったようだ。



『本当は、負けてないよってnameに言いたかったんだけどね』


 ほらね、彼は私を上機嫌にさせるのがすごく上手なんだ。




.

心臓の半分は君の色 〜光〜→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
設定タグ:ゼルダの伝説 , スマブラ , camille   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

camille - カラヒツジさん» 初めまして、読んでくださってありがとうございます!最高だなんて!とても嬉しいです!ゼルダ、楽しいですよね。私も一番気に入ってます!頑張りますね(^^*) (2017年8月11日 15時) (レス) id: bccdb31748 (このIDを非表示/違反報告)
カラヒツジ(プロフ) - はじめまして!ゲームの中でゼル伝が一番好きで好きで!!リンクの小説がもう最高です!他のみんなも最高です!頑張ってくださいな!! (2017年8月11日 0時) (レス) id: fad247e788 (このIDを非表示/違反報告)
camille - アリアさん» 初めまして。わぁ、ほんとですか!ありがとうございます、とても嬉しいです!儚い恋ほど、私にはなんだかきれいに見えて、ついつい書いてしまうんですよ。そろそろマルスのお話も書きたいと思っていますので、これからもお付き合い頂けたら光栄です(^^*) (2017年4月30日 18時) (レス) id: 87a4171143 (このIDを非表示/違反報告)
アリア - はじめまして!part1のマルスのお話が切なくて読んでて泣きそうになりました...マルス大好きなのに夢小説少なくてがっかりしてたところに作者様の小説と出会えてとても嬉しいです!ゼルダも大好きなのでこれからも応援してます(*´∀`) (2017年4月30日 18時) (レス) id: ce2efe2a6e (このIDを非表示/違反報告)
camille - ずんだもちさん» 初めまして、コメントありがとうございます!気に入っていただけたようで光栄です(*^^*)文才は皆無ですよー!笑 だけど、そんな風に言ってもらえて、少し自信がもてました。たくさんの嬉しいお言葉、本当に感謝しています!ご期待に添えるよう頑張りますね。 (2017年3月30日 22時) (レス) id: 0ef14f60fd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:camille | 作成日時:2017年1月4日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。