同じ。 ページ42
＿＿＿＿＿
「え、タツヤが交代…？」
「うん。一星や敵が何か仕掛けてきた時に、紫音の近くにいられないのは心配だけどね。」
後半開始直前、再びフィールドに赴こうとした紫音に告げられた一言。
思わず足を止めて聞き返すと、タツヤは自分が交代云々ではなく紫音の安全の方を気にしていた。
「それは多分何とか出来るけど…。」
野坂の帰還は喜ばしいことだが、代わりに１番信頼している仲間が退くのは気に食わない。
「けど…何？」
「一緒に試合に出られないとなると、何か…………やっぱり何でもない。」
なんと言ったらいいのかわからず、有耶無耶にしたまま考えるのを放棄してしまった。
すると、紫音の心情を代弁する者が現れた。
「それは『寂しい』んじゃないかな？」
「は、いや…違う。というか、交代の原因は君でしょ。野坂悠馬！」
「僕は誰と交代してくれ、なんて頼んでないよ。その寂しさを試合で引きずらないようにね。」
「うわ……。」
何だコイツ！と紫音は罵倒を浴びせそうになった。
野坂は、一々突っかかってくるヒロトのようなタイプでもコソコソと厄介なことをしてくる一星のようなタイプでもない。
スジの通った正論で的確に返してくるのにまた腹が立つ。
怒気がメラメラとみなぎっているのを察知してか、タツヤが宥めるように紫音の肩を ポンと優しく叩いた。
「仕方ないさ。誰かが代わらなきゃいけないんだから。紫音も野坂もそろそろ行かないと。」
「……わかった。」
「行こう、姫野紫音さん…… "紫音ちゃん" とでも呼ぼうか。」
「はいはい、"皇帝" の好きなように呼んで。」
♪♪
親しげに呼び方なんて決めながらベンチを離れて行った紫音と野坂。
タツヤはしばらく２人の後ろ姿を眺めた後、静かに踵を返した。
そこで自分の他にもう１人、紫音達のやり取りを見ていた者がいたことに気付いた。
口元は にこやかに笑おうとしているが、瞳は心做しか ゆらゆらと揺れていた。
「(俺と同じだな……杏奈さんも。)」
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
