２１: 俺が守る 零side ページ21
不安げに微笑みながら電話の向こうの父と対話するAは、小さい頃から変わらない。
誰かのために自分を犠牲にすることを厭わない。
それは恐らく無意識だから困ったものだ。
自分を犠牲にして誰かの為を思うという姿勢は、少し似たところがある。
そんな風に育って欲しくはなかったが、こうなってしまったからには自分がAを守らなければいけないのだと思っている。
優しく肩を抱き寄せると、素直に体を預けられた。
「うん、大丈夫だよ。分かってる。」
じっと隣で待っていると、突然Aが固まった。
まるで誰か身内を殺されたかのような表情で空を見つめるAは、側から見ていて可哀想だ。
少し肩を抱く腕に力を込めると、ハッとしたように口を開く。
「あっ…ごめん。………うん、分かった…いつになるの？」
答えを聞いたらしいAの顔が引き攣る。
会話を聞いていなくても、どんな話をしているのかは文脈で伝わる。
どうしようもないが、Aにとっては何より辛いこと。
苦しげに掠れた声で返事をするのを見るに耐えず、そっと目を伏せた。
「うん…うん。じゃあ、またね。…分かってる。おやすみなさい。」
震える声で返事を返したAの手から、スマホが滑り落ちた。
鈍い音が部屋に響く。
「ぅ……もぉやだっ…！」
みるみる顔が歪み、透明な雫が頬を伝った。
崩れ落ちるように蹲るAを抱きしめて、
頭を撫でる。
「お父さんもお母さんもっ…大嫌い…っ！」
零「A…」
「嘘つきっ……帰ってくるって言ったのに！
私の誕生日には帰ってくるって…約束したのに…！」
服をぎゅうっと掴まれて、しゃくりあげるAの背中を優しくさすった。
「独りはやだよ…ッ！兄さん…」
零「大丈夫。俺はAを独りにはしないよ。そばに居る。凛月だって同じだ。安心していいんだよ…」
「ぅう……ふぅぅ…ッ！」
久し振りに見たAの泣き顔は、驚くほど苦しそうだった。
だけど俺なら、Aを救える。
どんな方法でも、何をしても、愛しい子たちを守ってみせる。
前のようにはしない…
絶対に。
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瑠璃烏(プロフ) - 十六夜 桜さん» ありがとうございます！もう何と言いますか…インスピレーションが湧かなくて（ ; ; ）何とか書いておりますので、もう少しだけお待ち下さい！ (2020年1月6日 12時) (
レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
十六夜 桜(プロフ) - とても素敵な作品ですね！続きを楽しみに待ってます！零推しには嬉しいですね。(零の小説があまりないので) (2020年1月6日 1時) (レス) id: 12d90357d6 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - みーこさん» 長い間の更新停止、すみませんでした！お言葉、恐縮です。頑張らせていただきます！o(｀ω´ ) (2019年11月16日 14時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
みーこ - すごい好きです！更新待ってます！ (2019年11月13日 8時) (レス) id: ad66a60e86 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 紅さん» 閲覧頂きありがとうございます！ご指摘、その通りでございます(>_<)勉強の合間に書いたもので…！痛み入ります、すみません！ (2019年9月16日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年9月4日 9時
