『Tresor 』～Cinderella★Dream～ (ページ13)

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☆ ページ13

二宮の事は嫌いではない。

好きか嫌いかと聞かれれば好きなんだと思う。

それが友情なのか恋愛感情なのか…

はたまた人間愛なのか…

どの感情から溢れ出る好きかは別として…。

『私ね…？』

『うん。』

『一番の女になるのは嫌なのよ。』

『…え？』

『嫌って言い方には語弊があるかもしれないけど…。』

私の言葉の真意を理解をしようとする真顔の二宮の頭に桜の花びらが舞い落ちて…

手を伸ばしそっと手に取ると綺麗なハート型。

『A…。』

切なく掠れた声に呼ばれて手のひらから顔を上げると、

『二番目ならいいの？』

二宮は予想もしなかった言葉を発した。

『なんで一番が嫌なのかはわからない。けど二番目として接すればお前の隣にいてもいいの？』

『…意味わからない。』

私と付き合う為に他に女をわざわざ作る？

そんな面倒な事をわざわざしたいと思うだろうか。

私はそんな二宮の思いを背負える器でもないし、それ以前に私なんかが二宮の綺麗で真っ直ぐな思いを受け取っていいはずもない。

『それは俺のセリフだよ。意味わからねぇ。』

怒ってる？

呆れてる？

『だって最初から二番目なら期待もしないし裏切られないじゃない。』

『お前…今までどんな恋愛してきたんだ？』

『恋愛だけじゃないわ。全てにおいてよ。』

『全てって…。』

『細かい事を言えば長くなるけど…とにかく全て、全部よ。』

二宮は何を思うのか、ただ真顔で私をジッと見てる。

『お前は一番を望まないんだな？』

『うん…。』

『お前が望まないなら俺も望まない。』

『え？』

『お前が望まないモノ、欲しくないと思うモノは俺もいらない。だから付き合って。』

『…そんな…。』

普通に…

一般的な常識で考えてそんな事がまかり通るのか…。

『二宮がそれでよくても私は後ろめたさと罪悪感を持ったままで付き合う事になる。そんなのごめんだわ。』

ずっとそれを背負い付き合う意味が私にはない。

それなら最初から始めなきゃいいだけで。

『じゃぁ…どうしろって言うんだよ。』

今にも泣き出しそうな目と震える声は、二宮の切なさとやるせなさを容赦なく私に突きつける。

『どんな形でもいい…そばにいたい…。』

二宮の縋り付くような声に、息ができなくなるほど胸が締め付けられた…。