中芥『音楽』 ページ7
◆
無音恐怖症なやつがれちゃん。ちゅやさんマジイケメン。
♀♂
黄昏時。今日一日非番だった芥川は中原の部屋でずっと帰りを待っていた。
もとより、芥川は自室にいる時間がとても少ない。私物は殆どないから、部屋に入るのは掃除の時だけ。
芥川は自分の部屋が嫌いだ。否、それだと誤認があるかもしれない。芥川は無音な空間が駄目なのだ。
駄目というのは、精神的にも肉体的にもだ。貧民街に居たときも音と言えるのは叫び声や怒鳴り声、時々聞こえる泣き声だけ。太宰に拾われてからは無音そのものだった。
そして太宰がいなくなって酷く取り乱した芥川を支えてくれたのは中原。
中原の部屋は本当に洒落ていて本当にありそうな店のようだった。何処に目をやっても埃はない。
それに中原の部屋にはいつも音楽が流れていた。静かな雰囲気を漂わせる音楽を芥川は気に入っていた。
「芥川、悪ィな。遅くなっちまった」
部屋の主が登場だ。鳴ってきた音楽を止めて中原は芥川を抱き締めた。
「一人で寂しくなかったか?」
「…いえ、一人には慣れてます故」
そうか、と空色の瞳を細めて笑う。思わず見惚れた芥川は急いで顔を背けた。
「なんだよ、照れやがって」
「照れてません」
「照れてるじゃねぇか」
「照れてません!」
中原は芥川をもう一度抱き締めた。その力は少しばかり強かった。
「音が無いってのは、やっぱり怖いか?」
「こうして話している分に問題ありません。ですが一人の時、何か音が無いと気が動転します」
「今は」
「……分かりません。中原さんが声をかけてくれた日以来、日常生活の内に無音な時が無いようにと心掛けました」
中原は何も言わず芥川の頭に手を乗せ、撫でた。癖の強い髪の毛なのに、さわり心地が良くて中原は気に入っていた。
「芥川、今夜は何が食いたい?」
「中也さんが作るのなら何でも良いです」
「蚕豆にするか」
「…魚の煮付けが食べたいです」
「好き嫌いは良くねーぞ?…ま、分かった」
♀♂
終わらせてください。作者にこんなハードルの高い話なんて無理でした。
56人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なかゞわとまと - あくたん`∀´さん» ですよね、わたくしもナンパとか日常茶飯事だと思います(( コメントありがとうございます!続編も頑張ります! (2017年4月22日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
あくたん`∀´ - ふおおおおおおお!!やつがれ!やつがれちゃああああんっ!!…すみません、取り乱しました。書いていただきありがとうございます!やつがれちゃんは美人だからしょっちゅうナンパとかされてますよね!!← (2017年4月22日 9時) (レス) id: b724a19623 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 桐宮さん» はい分かります。可愛すぎますよね、あの二人は探偵社とポートマフィアの天使だとわたくしは思ってます。 (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - あくたん`∀´さん» リクエストありがとうございます!モブ芥で、太宰さんと中也さんが助ける最高に最ッ高な感じのお話ですね、分かりました!(( (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわとまと - 7×7さん» いえいえ!またリクエストお願いします!掲載は続編のほうになると思いますが…(( (2017年4月21日 22時) (レス) id: 59e0ee862d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なかゞわとまと | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TOMOTO/
作成日時:2017年3月26日 23時