110.お願いだから信じてくれ、離れないでくれ…sideO ページ20
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次の日がやってくる。
...正直、やってきて欲しくないものだ。
毎日毎日、Aちゃんを独占していたいのに独占出来ない。
...Aちゃんを会社に行かせてしまったら、二宮がなにをしでかすか分からない。そんなスリルに毎日駆られる。
できれば部屋に閉じ込めておきたい。
...でもそんなことしたら嫌われるからしないようにしてるんだけど。
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「いってきます」
智「行ってらっしゃい」
「...大野さん」
智「ん？」
「大好きです」
智「んぇ？」笑
「...」
智「...俺も大好きだよ」
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この幸せが、どうも続くとは思えない。
...好きな人はいつ離れていくか分からない。
人間ってそういうものだから、
...だから離れていく前に愛しておく。
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(永遠の愛なんて、誓えるわけないよなぁ)
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インスタントのコーヒーを注いで、湯気をふぅと吐く。
この湯気の向こう側にはいつもAちゃんがいて、
幸せそうに笑ってた。
...さて、彼女は本当に幸せなのか。
幸せだから笑っているのか、無理に笑っているのか。
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智「...分かんねぇよなぁ」
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なんであんな嘘のメールを送ったか、を鈴香さんに...じゃなくて山崎さんに問う。そしたら、
あなた達の関係を壊すために決まってるじゃない。
あなたは私を裏切った。不幸な目に合うのが普通のことよ。
なんて恐ろしい言葉が返ってきた。
その言葉に対して、俺もまた嘘をつく。
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『僕らの関係はそんなので壊れませんよ』
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チョン、と叩いただけで壊れない玩具のように、
俺らだって壊れやしない。
...最初はそう思ってたさ。
でも今は
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和也『アイツに、より戻そうって言ったんだよ』
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不安だけが俺の周りを包むだけだ。
俺は君の一番近くにいたい。そう思っているけど
君は、俺と同じことを思っている？
俺は、そうとは思えないよ。
...酷いことを言えば、嘘でもいいから俺の隣にいてほしい。
でも、俺はそんな酷いこと言わない。
...二宮とは違って。
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涙が溜まってポロと落ちる。
その涙は俺の部屋着のズボンに染みていく。
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一番近くにいたいのに、叶わないんだ。
それの辛さが、Aちゃんには分からないのだろう。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月13日 22時
