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五条は一度全ての動きを停止させ、「マジ?」と聞いた。二人は仲良く「マジ」と息を合わせて返す。
「ん………」
「あ、そこの君も起きたみたいだね」
水巫が頭を押さえながら身を起こす。
「A」
オロチが心配そうに彼女の名前を呼ぶ。水巫は「多分大丈夫」と言った後、酸素の足りない頭で辺りを見渡して自分の置かれた状況を理解しようとする。
しかし、あまりに情報が多すぎて言葉すら出てこなかった。
「恵、その子の側にいて。で、君は宿儺と代われるかい?」
「君が喰った呪いだよ」
「あぁ、うん。多分できるけど」
五条が準備運動を始める。その顔はどこか楽しそうだった。
「じゃあ十秒だ。十秒経ったら戻っておいで」
「でも…」
虎杖が男の身を心配して躊躇う。だが当の本人は待ちきれないといった様子でにっと笑ってこう言った。
「大丈夫、僕、最強だから」
五条は手に持っていた仙台名物を、水巫の側に移動した伏黒に預ける。
その隙に、虎杖と交代した両面宿儺は五条に飛びかかった。
が、五条は余裕な表情を浮かべながら遊ぶように呪いの王を相手取った。
「今更だけど貴方もさっきの見えてたんだね」
水巫が口を開く。伏黒は、目の前で行われているレベルの高い戦闘をじっと見つめている水巫を一瞥して「あぁ」と短く答えた。
「私たちは今までそういう人に会ってこなかったから、驚いた」
水巫はどこか寂しげにそう呟いた。
そうこうしてるうちに五条と両面宿儺の短い戦いは終わり、虎杖が帰ってくる。
そしてそのまま五条は虎杖の気を失わせて、がくんと力なく倒れた彼の身体を片腕で受け止めた。
「何したんですか」
「気絶させたの。これで目が覚めた時、宿儺に体を奪われていなかったら彼には器の可能性がある。
さてここでクエスチョン。彼をどうするべきかな」
五条は伏黒の方へ顔を向けた。
「……仮に器だとしても、呪術規定にのっとれば虎杖は処刑対象です。
でも死なせたくありません」
「…私情?」
「私情です。なんとかしてください」
真剣な眼差しで五条を見つめる伏黒。
そんな可愛い生徒に、五条はくっくっくっと笑うと、白い歯とグーサインを見せて「任せなさい」と答えた。
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佐藤れい(プロフ) - 林檎さん» 感想ありがとうございます…! とても嬉しいです、まだ明かされていないことも多くてむず痒い点もあると思いますが、それも込みで今後も楽しんでいただけると嬉しいです! これからもよろしくお願いします! (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4f8cc240de (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - こんな夢主ちゃん待ってました。すごく面白いです。シリアスが儚い雰囲気の夢主ちゃんにぴったりで素敵です。更新頑張って下さい、応援してます。 (2020年11月28日 0時) (レス) id: 67c87e380d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤れい | 作成日時:2020年11月22日 18時