【あんスタ】吸血鬼の妹は狼に恋をする２ (ページ11)

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61 またあそぼうねページ11

儀式、発表会、入学式、授業参観、旅行、パーティーなどのたくさんの写真がある中、天祥院英智との写真は1枚もなかった。

『そのうち分かる、か』

あの感じじゃ話してくれないだろう。私は諦めてアルバムを元の場所に戻そうとした。

『…あれ？』

凛月兄が持って行ったアルバムに挟んであったのだろうか。本棚のすぐ下にメモが落ちていた。

きょうはありがとう

またあそぼうね。

えいちより

子供っぽい文字で書かれていたのはそう書かれたメモだった。

…ん？

『今日はありがとうまた遊ぼうね。英智より…？』

えいち…きっと天祥院英智のことだ。凛月兄が持っていたアルバム、あの中にきっと写真があるのだろう。

…気になる。兄が向かったのは恐らくリビング。そこに行けばさっきみたいに話が聞こえるはず。

兄2人は気配に敏感だから気をつけないと。バレないように盗み聞きしてみせる。

ゆっくりゆっくり階段を降りてリビングに繋がるドアの近くで座り込む。耳を澄ませる。

「……だよね」

ん？

「私はいいと思うわよ。あの子は自分で行きたいと思って通ってるでしょ？」

「けどこれ以上Aを人間と同じ学校に通わせるのは危ないだろ」

『…』

リビングから聞こえてきたのはそんな会話だった。思っていた会話と違う。何だか嫌な予感がする。

両親は私に気づいていないらしい。話を続けている。兄2人は私のことに気付いているだろう。

そこから先の会話は聞いていない。どうして危ないのか、気になったはずなのに怖くて聞けなかった。

気がつくと私は家の外に出ていた。

自分が思っていたより時間は過ぎていたようで空は真っ暗だった。

『…』

「あれ、Aちゃん…？」

誰かに声をかけられた。声がする方に体を向けるとそこには制服姿のあんず先輩と…確か明星スバル先輩、が。

『…こんばんは』

「ん？君、どっかで見たことある顔なんだけど…えっとね…」

スバル先輩が私のことを思い出そうとしているのか顔を近づけてきた。1歩進めばキスできそうだ。近すぎる。

「吾輩の妹じゃよ、明星くん」

零兄の声だ。扉の開く音はしなかったはず、だが兄は家の外にいた。