36 聞いて、お兄ちゃん ページ36
『零兄、話があるの。入っていい？』
あれから風呂に入ったりいろいろして数時間がたった。私は今、零兄の部屋の前にいる。
クイズ番組のせいですっかり忘れていたが私は2人に伝えておきたいことがあったんだ。
まずは零兄。
「ん？Aか。もちろん良いぞ」
扉を開けると眼鏡をかけた零兄が。眼鏡だけで随分と雰囲気が違う。それは誰の眼鏡だろうか。
『零兄、その眼鏡…』
「ん？あぁこれか、蓮巳くんのじゃよ。我輩、眼鏡似合うじゃろ？」
うん似合ってる、とは言わず頷いた。言わなかった理由は特に無い。そう言えば零兄ってあんまり視力良くないんだっけ。
「それで、どうしたんじゃ？A」
『あ…あのね、零兄』
朝のことを全て話した。零兄は真剣な顔で話を聞いてくれてる。
別に許可をもらいに来たわけじゃない。なんとなく話しておきたかった、ただそれだけ。
『…てことなの。』
すると真剣な顔だった零兄の表情が少し和らいだ。
「ふぅん、そうか…頑張るんじゃよ、A。我輩にもなにか手伝えることがあったら言っておくれ」
『…ありがとう、零兄』
少し安心した。
一応用件は済んだので零兄の部屋を出ることに。長居するのは迷惑だろう。
「次は凛月の部屋に行くのかえ？」
『うん、凛月兄にも話しておこうと思って』
次は凛月兄。
部屋の前に立つと凛月兄の部屋から物音が聞こえた。なんの音だろうか。耳を澄ましてみる。
ドンドンと音が聞こえてくる。
もう少しよく聞くとなにかブツブツ言ってるような気もする。
「A、凛月が今…何をしているか分かるか？」
驚きで声が出なかった。声をかけてきたのは零兄。私の後ろに立っていた。
零兄は凛月兄が今、何をしているのか知っているのだろうか。
『えっと、部屋の片付け…？』
くくく、零兄が私を見てそう笑った。結構真面目に答えたんだけど。少し恥ずかしくなる。
「なかなか面白いことを言うのう」
『違う？』
「残念ながら」
部屋の片付けじゃないならこのドンドンした音はなんだろう。もう少し耳を澄ませてみる。
『ねぇ、声…掛けてもいいかな？』
「多分今は気づかんじゃろうな、少し中を覗いて見たらどうじゃ」
気づかないとはどういうことだろうか。
『…うん、じゃあそうしてみる』
「バレたら我輩まで怒られるから気をつけておくれ」
私は凛月兄の部屋のドアを開けて中を覗いた。
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冬乃(プロフ) - よっ！ (2018年8月30日 18時) (
レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです！あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです！続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんごあめ | 作成日時：2018年8月2日 0時
