37.未完成のfine ページ38
あ「じゃあ私からは以上です。セリエさんからはどうですか?」
一通りレッスンを終え、あんずちゃんが気付いたことを全体に言った後、私にまで話を振ってきた。
……気付いたこと、ねぇ
『さっきも言った通り、天祥院はまず体力作りから。基礎練を少し多めにして』
天「分かったよ」
天祥院はさっきと変わらず微笑んでいる。
『次は伏見君、君はほぼ完璧にこなしてる。けど、少し皆を立てすぎなんじゃないかな。君もアイドルなんだからもっと目立っていいと思うよ』
伏「そうですね。かしこまりました。善処いたします」
ふむ、この子やっぱりいい子だ。
『で、姫宮君。君も基本は基礎練。ていうか、場数が天祥院達と比べるとやっぱ少ないからね。1つ1つ、真剣にこなして』
姫「何でお前になんか…!」
『それが出来ないと、fineのステージは君のせいで失敗するかもよ』
姫「…ッ!」
少し厳しく言いすぎたか?
けど、この子はきっとこの先fineで重要な立ち位置になってくるはず。
だからここでくじけて欲しくはない。
『それで最後は渉、だけどさ…』
俯いてしまった姫宮君から視線を逸らし、今度は渉の方を見る。
『……昔より、落ちたね』
天「ッ!」
日「……自分では、そんなつもりは無いですけどねぇ」
何故か渉より天祥院の方が反応したのは気になったが、今はいいか。
渉はいつものようにヘラりと笑う。けどさ、隠しきれてないじゃんか。その困り顔。
『…ダメだよ、私の目はごまかせない。1年前までは一緒にレッスンしたりしてたんだから。……皆に合わせてる内に、レベルが落ちたんだね』
日「……」
肯定も否定もない。という事は、少なからず自分でも分かっていたということで。
だったら渉に出来ること。それは
『昔の感覚を思い出して。それで渉が皆を引っ張るくらいじゃないとfineは完成しないよ』
誰か1人でもレベルが落ちればそれはユニットとしては不完全になってしまう。
だから誰かに合わせてレベルを落とすのではなく、常に上へ上へとあげる努力が必要なのだ。
そんな思いで彼を見る。
日「参りましたねぇ……」
フッと笑って彼は私を見た。
日「セリエがそう言うなら、間違いはないんでしょうね。ならば私も昔の感覚を取り戻しましょうか!」
『うん、期待してるよ』
渉がそういうなら大丈夫だろう。
だって彼は一度言ったことは守るもの。
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年4月11日 19時