仮面少女と束の間の本音・2 ページ21
*
クラスのあこがれ。キラキラした輪の中心。
私だって、昔からそこに居たわけじゃない。
小学校五年生から六年生にかけて、私は1軍のメンバーに見向きすらされない地味な女子だった。
だから――だから私は、中学校で自分から変わろうと思ったのだ。
勉強は好きだったから、同じ学校の人が一人もいない白鳥沢学園を受験した。無事合格、丁度引っ越しもあったから、綺麗さっぱり過去とはおさらばできた。
中三で知り合った彼女はクラスの中心だったけど、とてもいい子だった。中心にいるのは、きっとカリスマ性ってやつだろう。
彼女と気があったから、自然に中心になれた。
落ち着かないけど少しだけ背伸びをして、校則に触れない程度に着崩して、楽しく生きて。全部変わるつもりだった、――だったのに。
「ホント、何で白布が入ってきたの……」
「全然関係ないと思う」
冷たく言い放つ白布。そういえば支度にまだ手間取ってるのかな。
高等部に進学したら、同じクラスになぜか小学校の同級生だった白布がいた。顔を合わせた時はそりゃげっとしたし、焦ったものだ。
でも白布は、何も言わなかった。
「……何で聞かないの?」
「興味ないから」
「…………」
彼はバレー部に夢中で、それしか見てなくて、だから私は助かったのだろう。
変わらず、変わった毎日を過ごしている。ただ少しだけ、たまに、放課後二人になった時に、愚痴を言うだけは。
「疲れるでしょ、あんなの」
「そりゃあ、少し無理しちゃってるから……」
「やめたらいいのに」
「今更できると思う?」
さあ、と無責任なことを言う白布に、私は憤って言う。本当に誰もいなくてよかった。
「私は、このままがいいから」
「…………」
「ありがとね。いつも聞いてくれて」
「……別に、愚痴くらいいつでも聞くけど」
いつの間にか、白布はカバンを持って教室から出ようとしていた。扉の前で振り返って私を見る。
ん? 顔を上げた私に、白布は何ともないように言う。
「Aは、……"そのまま"でいいと思うけど」
「……ん?」
「それじゃあ」
無機質に扉が閉まって、取り残されるのは首を傾げた私だけ。
最後、白布は私を見ていたのだろうか。
また朝になれば、私は仮面を被る。
それが取れることは、あるのだろうか。
・
・
・
白布賢二郎おめでとう。最後わかりづらかった。
こんな話は白布でしかできませんよね。大好きです、誕生日おめでとう。
5.4
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時