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入部から大分経ってもう5月の初旬であった。
新入生も部活に慣れて普段の練習もほとんど滞りなく進められるようになっていたが、まだうまく
いかないことも少しばかりはあった。そんな中特に苦労していたのがマネージャーで、まだ部員と交
流が少なく仕事もやり辛そうであった。何より、上の学年が殆ど揃わないので、その日その日と人が
変わったり、その人数で後輩に指示を出すのが時々大変そうだった。
上の学年が殆ど揃わないと言うのは、もともとウチは正式なマネージャーはおらず、仕事は殆ど助
っ人のような感じで部活に参加していた。これは、昔マネージャーが禁止だった頃、部員がマネ欲し
さに作った案らしい。なので、ウチのマネはほぼみんなと言っていいほど代々兼部のヤツらばっかり
だった。
なので、その制度に則っている上の学年たちは揃わないうえ、ちゃんとしたマネが多い新入生には
戸惑うことが多かったのかもしれない。
そんな中、厄介なヤツがいた。
そいつは『坂田譜鈴』と言った。そいつはいつもある先輩マネに付きまとって離れず、あまりち
ゃんと仕事をしなかった。しかしも、その先輩マネは兼部で後半からの参加が多かったので、そいつ
は先輩マネが来るまでの間は楽な仕事だけ受け、部員と話しているのだ。
付きまとわれている先輩マネというのは、俺らの幼馴染で構内でもちょっとした有名らしい。
名前を玻璃という。玻璃はそいつのことを少し鬱陶しがったり、迷惑がっている所
もあったが、それとは別に後輩として可愛がっていた。だから大して問題視もしていなかった。
その譜鈴の素行も時間が経つにつれ改善されていった。ちょうどその頃、俺への微妙なイタズラ
が何回かあった。
ある日は、俺の靴が片方ずつ空き下駄箱に入っていたり、ある日は部活のロッカーにスーパーのチ
ラシが貼り尽くされていたり、ある日は「後輩が呼んでたよ。」と言われ言う通りに屋上まで行って
せっかくに月曜に放課後2時間待った挙句誰も来ず。とりあえずそんなのが4、5回あった。
俺は、それが誰がやったかおおよそわかっていた。そして行動に移した。
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作者名:雪月風花 | 作成日時:2018年1月23日 0時