【文スト】月下の桜は今日も微笑む

29枚目 ページ31

『うーん…まだ寝ていたい…』
まだ朝も早いからもう少し寝ていたとしても問題ないだろう。


寝ぼけた頭でそう考えて二度寝した私を誰か殴り飛ばしてくれ、と思うのはもう少し先の事


＿＿＿＿＿


ジリリリリ、と典型的な目覚まし時計の音が頭の片隅で鳴っている。
嗚呼、眠い。だが起きなければ叱られてしまう。一応新人だから真面目に出勤しよう。


むくっという効果音の後、チラッと時計を見た。…それが間違いだった。


『え…？10時30分…！？』
表示されていたのは完全に遅刻の時間で。終わったなぁ私。
瞬間移動の異能が欲しい。心底欲しい。


そう思いながら全力で探偵社まで走る。


『間に合わないですけども叱られて解雇になりませんように…！なったらマフィア行くけど。』
途中のエレベーターでこんな独り言を漏らす。


普通の人からしてみればかなり物騒な台詞なのだろうな
チンッとエレベーターがお目当ての階に止まって慌てる。
どうでもいいけどエレベーター古い。


『お、おはよう御座いますぅ〜』
そろそろと入ってあたかも最初から居ましたよ、というように振る舞う。だがバレた。


「！桜貴様…！お前まで太宰のようになってどうする！」
『うわぁ、太宰さんに多大な風評被害が…って、あれ？太宰さんは何処です？』
「あ、桜さん、こんにちは。太宰さんなら…えっと…」


寝てますね。


『………えっ？』

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