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【回想】
それは、どこにでもある家で起きた事件だった。
その家は3人家族でまだ小学5年生の娘がいた。
その娘は生まれつき真っ赤な眼をしており、表情をあまり表に出さず、無口で大人しい子供だった。あまりにも無口で親も声を聞いてないレベルだ。
珍しい眼をした子供でしかも大人しいから誘拐犯には絶好の獲物だろう。彼女はよく誘拐事件に巻き込まれていた。
誘拐されることがたびたびある彼女は必ずいつもと同じ帰宅時間で無傷で帰ってくる。1人で、無表情で帰ってくる。
普通の顔をして帰ってくるのだからほとんどの親はなかなか気づかないであろう。
だがここからがおかしい。
誘拐された日は必ず左右関係なく手が、服のあちこちが、真っ赤な液体で濡れている。
そこで親はまた事件に巻き込まれたのかと確信する。
さぁ、ここまでで安易に想像できるだろう?
子供の頃から紅音、いや、奥沢A。こいつは誘拐犯を殺していた。しかもその数軽く50人は超えているだろう。
そんな子供を持った親が正気でいられるはずがない。両親はその子供が睡眠薬で眠らせている間に殺してしまおうと考えた。
『……よし、寝ているな。じゃあお前はそのクスリが入った液体を飲ませろ。そうすれば簡単になんの痕跡も残らず死ぬはずだ。』
『えぇ分かったわ……こうするしかないのよね。こうすれば私たちの平和な日常は帰ってくるのよね……』
両親は限界だった。
『ふーん…平和な日常、か。』
沈黙を破る冷ややかな声に両親は思い切り振り向いた。
最後に聞いた声とは全く別人のような声色でいつの間にか背後に立っていた彼女。あらかじめ睡眠薬で眠らせておいた彼女が無表情のまま片手には包丁を手にしていた。
『私だってこんな風に生まれたくなんてなかった。非日常的な人生、いつ終わるのだろうかとこんな地獄いつ終わるのだろうか毎日毎日苦痛に耐えて、毎日あらゆる方法で死のうと思ったけど死ねなかった。なぜならそんな娘の状態に気づきもしないで全て私のせいにしたお前らが許せなかったから。そう思ったら、ここで死ねない。あいつらを殺してやる、と思った。毎日お前らの様子を観察していたから今日の夕飯に睡眠薬が入ってたのなんてすぐに分かった。今日は月も星も綺麗だし殺すには一番いい日。あえて飲んだふりをして油断させといたのはそのため。ーーー今までの恨み、ここで全部出してやる。』
そう言って慣れているようなスピードでそいつは両親を殺害した。
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作者名:きのこ松。 | 作成日時:2018年1月18日 20時