赤眼少女とマフィア (ページ21)

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【紅音目線】

「ヒヒッ...二人とも、さっきまでの笑顔はどこやったの？」

彼のいつもの笑い声でと一気に冷や汗が出たのは何故だろうか。

ーー答えは簡単だった。

一松は確実に模擬戦という甘ったるい考えではなく、これは殺し合いだと言うように爛々と目を光らせていた。

私の思考はすぐに殺されると判断して、それは目の前にいたチョロ松も私と同じようで冷や汗をかいている。

それにトッティの場所にいる十四松もいつここに乱入してくるか分からない。

そのためにもさっさとケリをつけておく必要があった。

私はハンドガンとナイフをもう一度握り直して次の行動を考えるために思考を巡らせていた。

(どうする…？どうしたらこの場を切り抜けられる？考えろ...考えるんだ……！)

その時最初に動いたのはチョロ松だった。狙いはもちろん一松で、彼の動きを予測したかのように狙いが定まっている。

しかし一松はひらりひらりと時間が止まっているかのように簡単に避けていて、余裕の笑まで浮かべるほどだ。

すると急に一松は私の方に向かってインク玉を投げてきた。

「あんたの存在、忘れてると思ったか？」

とっさに私はナイフでそれを弾き、一松ではなくチョロ松に向かって銃口を向けた。

彼は一松に意識が集中しているため背中はガラ空きで私にとって絶好のチャンスだった。

(もらった…！)

勝ちを確信した私は口角を上げて思いっきり彼の背中へ発砲。

私の白いインクはチョロ松の背中に当たって白いシミが服に広がるーーーーーーーーーーはずだった。

「そんなに僕が甘く見られてたなんて。残念だな」

そんなつぶやきと共に私に向かってきたのは緑のインク玉。そのインク玉は反射的に避けた私の左手の甲に当たった。

「...ッ！な、なんで！？完璧に死角だったはずなのに！」

「ハァ...だから、僕はマフィア界でもTOP5に入るくらいのスナイパーだよって言ったよね？僕の周りの全方位くらい警戒してるに決まってるじゃん。
それにスナイパーライフルだけしか持ってない訳じゃないし。だからあえて気づかないフリをして相手を油断させたんだよ。
……それにしてもとっさにあの玉を避けるなんて紅音ちゃんやっぱりすごい反射能力だね。手の甲は別にセーフだからいいとして、ここからが本番だからね？ーーー覚悟してよね？あ・か・ね・ちゃん？」

そうやってまるで悪魔のようなゾッとする笑みを浮かべて言ってきたチョロ松に私は立ちすくむ事しか出来なかった。