検索窓
今日:16 hit、昨日:13 hit、合計:226,555 hit

第65話『恐怖と不安』 ページ18

杏奈side


私たちはテーブルに集まる。

「まず最初に、俺から報告だ。美門について」

私たちは、いっせいに若武君に目を向ける。

「今は、国立感染症研究所が斡旋した病院に入院してる。さっき入院先の病院に行ってきたんだけれど、どうもよくないみたいで面会謝絶だった」

え・・・。

「メイドさんの話だと、高熱が全然下がらずに、体力が落ちて、うなされてるって」

美門くん・・・。

私はぎゅっと拳をにぎりしめる。

「でも治療薬がないから、どうしようもないらしい。医者からは、このままだと、1週間前後で死に至る可能性もあるって言われているって。」

死に至るって・・・美門くん、死んじゃうかもしれないってこと?

私はだんだんと変な汗が出てくる。

身近な人が死んでしまうなんて経験は、今まで一度もない。

もし身近な人が死ぬなら、おじいちゃんやおばあちゃんとかが一番になると思っていた。

でも、それが美門くんになるかもしれないんだ。

そんなのは嫌だ。

美門くんを一番目になんかしたくない。

私の瞳に、じわっと涙が滲む。

「体内に侵入したウィルスに勝てるかどうかは、気力が関係するんだ」

そういったのは、小塚くんだった。

「気力が、免疫力を上げるんだよ。早くこの事件を解決して、ダンス大会で優勝しよう。僕達が頑張ってるってことがわかれば、美門だってきっと頑張るよ」

そういうもの・・・なのかな?

だっていくら気力があっても、人は死ぬ時には死んでしまう。

私はイマイチ納得できなかったが、みんなは決意のこもった目をしていた。

それで思った。

ああ、この人たちは、私とは違うなって。

私はみんなみたいに、ポジティブに生きられない。

そんなものを信じても、それは100%で助かる方法じゃない。

意味ないと思ってしまう。

・・・ほんとにこの人たちと一緒にいると、どんどん私が廃れていく。

そんな気がした。

第66話『会議』→←第64話『可愛いアーヤ』



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (110 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
180人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

桜@ひなた - 落ちは、翼がいいと思います! (2023年2月19日 18時) (レス) @page4 id: fb711c9d23 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - オチは、翼か黒木くんがいいです!推しなので・・ (2022年2月27日 8時) (レス) @page3 id: 8e64252870 (このIDを非表示/違反報告)
Snow(プロフ) - オチは翼がいいです!! (2021年3月19日 12時) (レス) id: 1bc28cf27b (このIDを非表示/違反報告)
マカロンY - 320526 オチは翼 (2021年3月4日 21時) (レス) id: 23d1cff2e4 (このIDを非表示/違反報告)
bigaru(プロフ) - 落ちは翼希望です!翼落ちのお話が少ないので・・・ (2020年7月29日 19時) (レス) id: 4e79474d44 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年6月17日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。