4_パートナーの名前 ページ5
「そういえば、そのイーブイニックネームとか付けないのか?」
イーブイを捕まえてから二日後、突然お兄ちゃんがそんな事を言い出した。
「ニックネーム…?なにそれ?」
「知らないのか?…うーん、何て言うか……あだ名みたいなもんだな」
無くてもいいだろうけど、折角だし付けてみたら楽しいぞ。
お兄ちゃんにそう言われて、私は少しの間うーんと考えながら唸る。
「…決めた!」
ばっと顔を上げて、イーブイを指差す。
「命名!"サニー"!」
「ブイブ?」とサニーが首を傾げた。
「お、良いじゃねーか!明るい感じで」
「でしょ?」
お兄ちゃんが共感してくれたのが嬉しくて、私ははしゃぐようにぴょんぴょん跳び跳ねた。
「…『命名』って、さては最近流行りの学園ドラマに影響されたな?」
ニヤつきながら言うお兄ちゃんに、びっくりして目を丸くした。
「えー!なんで分かったの!?」
「お前がそんな難しい言葉、知ってる訳ないだろ。それに、あのドラマ見てるって言ってたし」
「失礼しちゃうなー」
こう見えてもちょっと難しい小説とか、読んだりするんだからね!
…まあ、確かに『命名』という言葉はドラマを見るまで知らなかったけど。
「あのドラマ面白いよなー…」
「『ゲキアツ先生』でしょ!ありがちな展開だらけだけど、なーんか新鮮味があって面白いんだよね!」
熱血教師がやる気のない子供たちを優しく、時には厳しく正していくというありふれたストーリー。
「『新鮮味』も『ゲキアツ先生』の影響だろ?前回の話でヨリコが使ってた言葉だぞ」
「んもう!いちいち細かいなぁ!というか、なんでそんなことまで覚えてるの!」
サニーを抱きしめながら言う私に、お兄ちゃんがまたからからと笑った。
「はぁ…お前って本当人の影響受けやすいのな」
「良いでしょ、別に。それだけ私が素直だってことだよ!」
ぷりぷりと怒る私と、未だに笑いを止めないお兄ちゃん。
こんな風なよくある光景を、あの日の悲劇を忘れてずっと続けられると思っていた。
……その一週間後、お兄ちゃんの悲報を聞いて私は病院へと駆けつけることになった。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ