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32。 ページ32
喫茶店でゆったりと時間を過ごし、気づけば残り3時間
真上に居たはずの太陽はもう傾き始めている
『どうするんですか？』
「……分かんない」
突然不安になってきて
入り口の横にはったベンチによしかかる
彼は俺に寄り添うように隣に座った
「死ぬことが分かってて生きてるって、怖いことなんだね」
『……？』
「俺が3時間後死ぬ人間だと思えないってことだよ。」
『……長生き、したいですよね』
「……うん」
返事するのに間が空いたのは、自分の中で確信したからだ
「あのさ……翔、くん」
『………なんですか？』
「思い出したんだ。翔くんの事」
『………そうですか』
「君は…」
『大野さん』
すっと立ち上がり
こっちを見ずに言った
『最後に、私の我が儘につきあってください』
俺は何かを察して
無言で石段を下る彼の背中を追った
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