星と記憶-S-O- (ページ33)

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石段を降り、終始無言の彼の後をついて行く

バス停に辿り着き丁度来たバスに乗って30分

降りると、どこまでも、どこまでも、歩いていく

やがて見えてきたのは海。
海って意外に近くにあったんだ…

疲れ切っているはずなのに背中を追いかけ必死に動く足

大通りを抜け小道に入ると海を背にしてまた木々に囲まれた細道を登る

　

「あれ…ここ………」

見覚えがあった

小さい頃よく来た………

『大丈夫ですか？』

やっと彼の声が聞こえたのは細道を抜けて視界が開けた時

「やっぱりここ……」

『ここに、来たかったんです』

そこはあの時

小さい頃に遊んでいた小高い丘

あの日彼と来たときよりもっと空は晴れていて

青い三角屋根もはっきり見える

『僕は一つ、嘘をつきました』

「嘘？」

広々とした野原を見つめて呟いた

『けど、もう大野さんにはそれを伝える必要がなくなりました』

じっと、三角屋根を見つめている彼を見て気付いた

あぁ、やっぱり。

俺と翔くんは友達……いや、親友だったんだ