主婦喪失 23 ページ48
雅紀サイド
「じゃあそろそろ行く？」
予定の14:00になる5分前。
緊張しているからか、俯き加減のゆかに声をかけた。
病棟内の診察室だから、もっとギリギリでも良かったんだけど、少しだけ余裕を持って声を掛けたのは、心の準備をさせてあげたかったから。
いくら診察といえども、あの体勢で診られるのはやっぱり羞恥心があるはず。
ホンの少し早く行くことで、気持ちを整えて診察を受けられるかなって思ったんだ。
病衣の上からパーカーを羽織らせて、冷たくなっている指先を俺の手で包み込むようにして手を繋ぎ、部屋を出た。
ほどなくして着いた診察室の前。
「俺はここで待ってるね。話は一緒に聞くから…
さっき俺が言ったこと覚えてる？」
笑顔で訊くと、
「お口で呼吸…」
泣きそうな顔して答えてくれた。
「ははっ、覚えてるじゃん。あんまり強ばった顔してるから、忘れちゃったかと思った」
ちょっと笑っちゃったのは、泣きそうな顔が和のそれとそっくりだったから。
雰囲気とかホントに、似てた(笑)
緊張や恐怖心から息を止めてしまいがちな診察を前に、俺からちょっとしたアドバイスをしておいた。
何の診察にも共通する、めちゃくちゃシンプルなことだけど"口で呼吸"ってことに意識を向けるだけでも、効果があると思うんだよね。
実行できれば、もちろん体の力が抜けて効果は大きい。
「はい、行ってらっしゃい！
俺もいい子で、待ってるから(笑)」
丸椅子に腰掛けて言うと、あきらめたように部屋をノックして入って行った。
ゆかの姿が診察室に消えたことで、今度は俺が緊張に包まれた。
この後される話の中で、術後の経過、今後の妊娠・出産、再発の可能性…
聞きたいことはいっぱいあるけど、その答えを聞くのはやっぱり怖い。
そんなことを考えていると、ゆかが顔を覗かせ、
「お待たせ」
って、笑顔を見せた。
「早かったね？痛くなかった？」
「うん、平気。
先生がすぐに呼ぶから、旦那さんと待っててだって。
旦那さんって言われるの慣れてないからちょっと恥ずかしいけど…でも嬉しい(笑)」
緊張から解放されたゆかは、ちょっと饒舌で。そんなゆかが可愛くて、愛しくて。さっき感じた緊張は、早くもどこかへ飛んでった。
「相葉さーん！こちらにどうぞー」
少し離れた場所のドアが開き、中から大倉先生が顔だけ出して、呼んでいる。
「あっちだ。
行こう、ゆか」
呼ばれたことで、また一気に不安げな顔をするゆかの肩を抱いて歩き出した。
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
