主婦喪失 21 ページ46
翔サイド
「ただいま」
ひっそりとした家の中に、入って行くとダイニングに智にぃがいて、手にはビール缶。
「おかえり、思ったより早かったね、お疲れ様」
いつものふわふわした智にぃにひどく安心した。
「珍しいね、ひとりで飲んでるなんて」
言いながら、ぐるりと辺りを見回してみると、キッチンはすっきり片付いているし、リビングには洗濯物が干されている。
「すご…これ全部ひとりでやったの？」
驚きを隠せないでいる俺に、
「もちろん。
だけど、代替え可能なことは手抜きした。
ご飯をコンビニ弁当にしたら、片付けも楽勝で、あの子たちとも遊べたし、洗濯までできた。
もっと早く気付けば良かった」
って、笑顔で。
「そ…うなんだ。
そりゃそうか…作らなければ洗い物もないから食事前後の大変さが一気になくなったんだ」
言われて初めて気付いた。
当たり前のことなんだけど、無我夢中でそれまでの生活を維持しようと、躍起になっている中では、全く気付かなかった。
「ねぇ(笑)
潤のこともあるから買って来るなんて、考えもしなかったけど。お陰で久しぶりにビールを飲む気になるほど、ゆったりした気分。
翔も飲む？」
柔らかな笑みを浮かべて訊かれ、躊躇せず首を縦に振っていた。
その日の夜は、智にぃと2人でゆっくり話をした。
ちょっとした反省会と、もうしばらく続くこの生活を少しでも楽に送るための作戦会議(笑)
そのお陰で、やっと朝から引きずっていたネガティブな感情から解放された。
あとは和と直接ふれあう中で、できることをして関係修復に努めることに。
智にぃは壊れてない関係を修復するのは無理なんじゃない？って、笑ってたけど。
そこまでは流石にまだ思えなくて、曖昧に笑って部屋に戻った。
ベッドに転がると、浮かんできたのはやっぱり、和の顔。
だけど何かを考えるより前に意識を手放し、夢の世界へと落ちていった。
「パパ…」
「しょ、パパ」
何度も近くで呼ばれている気がして目を開けると、最初に目に飛び込んできたのは和の顔。
「ん、おはよ…
どした？」
うまく回らない頭のままで、いつも通りにそう聞けば、
「出ちゃった…お着替えして？」
甘えた顔して、まだ横になったままの俺に頬を寄せて来た。
「そっか…
よし、着替えしよ。偉いね、泣かずに言えて」
そう言って手を引いて部屋を出る時、気付いた。
今までと何ら変わらない和の言動に…
ありがとう。
そう、そっと心の中で呟いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 545人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
