幸せな幻 (ページ1) - 小説/夢小説

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星空の下で誓った幸せページ1

婚儀を終えて、その日の夜。

「？あっ、」

「！A殿。」

月の綺麗な夜だった。
広いベランダというか、開いた外を見渡せる椅子が置いてある所に白龍がやってくると、そこには既に先客がいた。

それは昼間とは違い髪を下ろして寝衣を着たAで、白龍は少し驚いたように目を丸くした。

彼女は柵に手を乗せ夜空を眺めていたようで、片手を柵に残したまま体をこちらに向けた。

なんだか少し気まずい。

白龍はどんな顔をすればいいのかわからなかったが、Aがふっと優しく笑ってくれたので、白龍も微笑んだ。

「もうこんな時間ですよ。眠れなかったんですか？」

白龍がそう言いながら彼女の隣にたてば、Aは「いいえ」と首を振りながらまた星空を見上げた。

「婚儀が終わってから、早速やることがあって…さっきまでずっと、それをやっていたのです。」

「！初日から忙しいんですね、でも、そんなものあったなんて。」

「はい…その、煌帝国は歴史ある国ですから、皇帝のお嫁さんとなったなら、しきたりとか礼儀とか、そういう物をおぼえなくてはいけなくて…」

「花嫁修業…みたいなものですかね？」

「うふふ、そうかもしれませんね。」

礼儀の教養はあったAだが、皇后ともなればそのレベルでは許されない。
古くから国に仕える官女たちに指導されるのだ。
さっきまでは、渡された国の歴史や行事の書物を渡され、永遠と読んでいた。
小さい頃から居たんだから知ってるし！と思ったが、知らないものも勿論沢山あったので目眩に襲われながらも頑張って読んだ。
まだまだ続きはあるが、礼儀は皇女である紅玉に指摘するのが自分の立場だったためずっと幼い頃に叩き直されていて、初めから習う羽目にならなかったのが唯一の救いだった。

初日から堅苦しい儀式を交わし、それから今までずっと勉強していた彼女には一日にして目の下にクマが出来ていて、それを見た白龍は申し訳なくなった。

「…明日は休ませるように言っておきます。」

「え、そんな！いいんですわ陛下。私頑張りますから。」

ニコッと白龍に笑いかけるAだが、白龍は心配で仕方ない。

「…というか、結婚したはずなのに距離ができてません？」

「…あー、あはは。」

「2人きりの時は、口調を崩してください。」

「あら、それ王サマ命令？」

「いいじゃないですか、また「白龍」って呼んでくださいよ。」

「うふふ、はあい。」

ふにゃりと笑う笑顔は、疲れていても可愛らしかった。