僕の声、君を救うため。【あほの坂田】 (ページ4)

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坂田「ただいまー」

父「おかえり。今日早かったな」

坂田「45分授業やってん。…Aは？きてないん。」

家に帰ったら、Aが居ない。最近は、「今日はいらん」って言ってたからこないのは分かってたけど…

今日はなんも言われてない。って事はくる筈なのだ。

＂おかしい＂

もやっとしたものが、胸に溜まる。

父「そやな～、来てへんな。珍しいやん。何かあったんかね」

何かあった、冗談でも今は聞きたくなかった言葉だ。

俺は家を飛び出した。Aの家と俺の家は、学校からだと同じ方向。

だから学校へ向かって行けば、Aは見つかる筈。

坂田「な、ぁ！A⁈A…‼どこおるん‼」

今は、Aを独りにしていたらダメ。小さい頃からの付き合いだ、そんくらい分かる。

学校までついたけど、Aは見かけなかった。

もう家に帰ったかな。なんて思い、家に足を進めた。

暫くトボトボと歩いていると、すすり泣くような声が聞こえてきた。

路地の方だ。

誰だろう、と好奇心で行ってみた。

そしたら、そこには見つけたかったAの姿が。

『偽善者ばっ、か…グスッ。どうせ1人にするんなら、…もう付き合わせないで、よ…‼』

静かに聞いていたら、今まで聞いた事の無い愚痴ばかりが、ボロボロボロボロと出てくる。

嗚呼。
俺はこんな状態になるまで、こんなに溜め込んでいる所まで気付けなかったんだ。

ほんと、情け無い。

坂田「なぁ。A。そんな、溜め込んでたん…？ごめん、ごめん。何もできんくて。本間ごめん。」

『ゆ、う…？ち、がうから…！私が悪い…でも、言ってくれないから、…何が悪いのか分からない…‼うぅ、グスッ。優…助けて、よ……』

坂田「ごめん、ごめん。俺には、無理や…歌う事だけは、できるから、…から！歌うから、頑張ろ…？Aの為だけに、……歌わせて？」

『う、優…！優…うわぁぁん‼ごめん、なさい…』

Aは、子供みたいに泣いた。

ごめん、そこまで溜めてるとは思わんかった。
軽く、みてた。

どうせ女子やからそんな酷い事せぇへんやろ、と。そんな安心なんてもん、もう無い。

女子は精神的に、追い詰めて行くんだと。

ねぇ、A。俺は、君の為だけに歌うよ。