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私が動けなくなりそうなら。
車いすで移動できる間に、色々なところに連れてってほしいの。
その頃私は、あなたのことを覚えていないのかもしれないね。
それでも、あなたが大切な人ってことは分かっていたいから。





******


「海……?」

「そう、風が気持ちえぇやろ?」

「うん…そうだね。」

「それにな、ココは俺らの思い出の場所なんやで!!」


 
ゆっくりと車いすに乗ったAを押しながら、海岸沿いを散歩する。
あの事故から8日くらい経ったやろか、Aの記憶はどんどんなくなっていった。
今覚えていることは、家族の名前と俺の名前。後は…ここ1か月くらいの記憶やろか。



「ここでな、俺ら付き合うことになったんよ。」

「そうなんだ…」

「あんとき、俺めっちゃかっこ悪い告白してな…」



やから、今俺が彼女にしていることは想い出巡り。
俺らがよく行ったところ、告白したところ、デートしたところ。
行ける限りのところに足を運んでいる。

最近のAは歩くことが難しくってしまったので、車いす。
だから行けるところには俺が運転していっているんやけど……
いやホント、いろんな友達巻き込んで運転練習してよかったわ……
鬼教官センラのおかげがほとんどやけど。



「…ねぇ、さかたん。」

「んー?」

「告白って…なんて言ってくれたの?」

「あ、えー…それ、聴いちゃうん?」


 
知りたいな。そう、少し顔を赤くして言うAの可愛さは反則やと思う。
え、でもあんときの俺…めちゃくちゃダサいで…?

そもそも、俺とAの出会いって言うのは本当にしょうもなくて。
コンビニで俺が財布忘れたのを彼女が届けてくれたっていう…あれで。
そっからお礼にってご飯行って、話してて楽しくて…ひとめぼれして。

ちょっと遠出して海に行こう!って誘って……ここに来て。
んで、俺はここで告白する気やったから…めっちゃ緊張してて。
確か、こういったはず……


 
「Aのことが好き、大好きやから…俺と付き合ってくれませんか?」

「…はい。」

「こう、言ったんよ。」

「ふふ、私は幸せだったんだなぁ…」

「だったやないやろ?今も、幸せでおって?」

「…私も、さかたんのこと好きだよ。」

「…そう、返事してくれたんよ。」


 
車いすから抱きあげるようにして、彼女を横抱きにする。
このまま、この海を歩けば、2人一緒に同じところに行けるやろか。
…Aはそれを望んでへんやろな。

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や-さん(プロフ) - 涙がとまりません…とても素晴らしい作品です!! (2019年5月22日 3時) (レス) id: ec5ca44496 (このIDを非表示/違反報告)
トーストぱん(プロフ) - ボロ泣きしました…悲しくて悲しくて涙止まんないのに所々キュンキュン所あってまたすぐ悲しくなって後半は泣きっぱなしで読んでました…素晴らしい作品ありがとうございました…! (2019年5月20日 11時) (レス) id: 2929f04cfc (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» 蒸しタオルのせて何とか回復してください…!こちらこそ読んでいただきありがとうございました! (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - ゆきさん» 感動していただけてよかったです、ありがとうございました! (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - 三日夜 雪璃さん» そう言っていただけて嬉しいです、読んでいただきありがとうございました! (2019年5月19日 2時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Elice | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2019年5月15日 21時

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